LAST WEEK MARKET|26.10.5〜9

LAST WEEK MARKET

LAST WEEK MARKET

対象週は2026年10月5日〜9日。米国ではサービス業の価格上昇圧力が一段と強まりました。9月のISM非製造業価格指数は74.0(前月72.6)へ上昇し、2022年7月以来の高水準を記録。一方、景況感を示す総合指数は54.9(前月55.4)へ低下しています。景気拡大の勢いがやや鈍る中でも、企業のコスト負担は強まったという組み合わせです。[出典:ISM公式・9月非製造業景況指数]

10月7日公表のFOMC議事要旨では、多くの参加者が年内にもう1回の利上げを適切と判断していました。ただし、これは9月の政策金利見通しですでに示されていた方向性であり、10月会合での利上げが決まったわけではありません。実際、市場では10月の利上げ確率が2割程度にとどまる一方、12月の追加利上げをより強く意識する構図となっています。[出典:FRB・9月FOMC議事要旨]

それでも米10年国債利回りは前週末の5.28%から5.24%へ4bp低下。2年債も4.83%から4.80%へ3bp低下し、10年実質金利は2.92%から2.91%、10年BEIは概算で2.36%から2.33%へ下がりました。週中には長期金利が再上昇する場面もありましたが、週末時点では物価圧力の強さがそのまま利回り上昇につながったわけではありません。[出典:米財務省・名目/実質国債利回り]

MSマーケット総研が注目するのは、この食い違いです。物価は上振れた。しかし金利が反応するかどうかは、すでに織り込まれた政策経路と、新しい情報との差で決まる。さらに、短期金利と長期金利を同じ理由で説明してはなりません。次の米CPIで検証すべきなのは物価の数字だけでなく、2年債・10年債・実質金利・BEIがそれぞれ何に反応するかです。

FRB

週末のS&P500は7,811.54で、週間騰落率は+1.2%。NASDAQ総合は27,366.17(+0.6%)、NYダウは51,654.95(+0.9%)で終えました。一方、Russell2000は週間-0.9%と下落。主要指数はそろって強かったわけではなく、大型株と小型株の間に明確な温度差が生じています。[出典:AP・10月9日米国市場]

週の中盤には金利上昇が株式市場の重荷となりました。7日は米長期債の売りが強まり、S&P500とNASDAQは下落。特に小型株の弱さが目立ちました。しかし週末には主要指数が反発しています。金利上昇が株価を圧迫する局面と、企業業績への期待が株価を支える局面が同じ週に存在したということです。

ここで重要なのは、ISM価格指数74.0を見て「物価高だから株安」と直結させないことです。同指数は企業が直面する価格上昇の広がりを示す拡散指数であり、CPIのような物価上昇率ではありません。さらに、株価は物価だけでなく、将来利益と割引率の双方で決まります。今回の株高を評価するには、指数の上昇率に加え、業種別の強弱や決算見通しを確認する必要があります。

来週は米CPIと米大手銀行の決算が重なります。CPI上振れで10年債利回りが再上昇してもS&P500が高値圏を維持できるのか。逆に、金利が低下しても企業業績への警戒から株価が下がるのか。次に確認するのは「金利が上がったか」ではなく「上がった金利を利益成長が吸収できるか」です。

米国株

Point:ISM価格指数74.0はインフレ率ではない

サービスPMI:54.9(前月55.4)

価格指数:74.0(前月72.6)

総合PMIは前月から低下した一方、価格指数は2022年7月以来の高水準となりました。価格指数は企業の仕入価格の変化方向を表す拡散指数です。74.0を「物価が74%上昇した」と解釈するのは誤りです。景況感と価格圧力の方向が分かれた点こそ重要です。価格指数は総合サービスPMIの算出に直接含まれません。

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ドル円は10月2日の157.86円から10月9日の158.34円へ上昇しました。週中には158.50円近辺を試す場面もあり、週末も158円台を維持しています。一方、同期間の米10年国債利回りは5.28%から5.24%へ低下。米長期金利が小幅低下しても、ドル円は円高方向へ動きませんでした。ただし、週間4bpという変化幅だけで日米金利差と為替の関係が崩れたと判断するのは早計です。[出典:ドル円・日次価格データ]

為替相場を米10年債だけで説明することには限界があります。政策金利見通しを反映しやすい短期金利、日米の実質金利差、海外投資家の資金フロー、国内の財政・金融政策への評価も考慮する必要があります。今週のドル円は、米長期金利の週間低下だけでは説明し切れません。重要なのは、どの要因が円安を支えたのかを短期金利と長期金利に分けて検証することです。

原油価格も無視できません。ブレント原油は10月2日の102.25ドルから9日の104.72ドルへ上昇し、週間では約2.4%高。中東情勢による供給懸念が残る中、原油高は輸入物価、企業のコスト、家計のインフレ期待を通じて日米双方の金融政策に影響します。ただし、原油高が必ずドル高・円安をもたらすわけではありません。日本の輸入負担と米国のインフレ・金利見通しが、それぞれどの程度反応するかを見極める必要があります。[出典:Reuters・原油市場]

来週も前号からの観測水準である158.50円と156.70円を継続します。158.50円を明確に上回る場合、米短期金利が同時に上昇しているのか、それとも金利差と関係なく円が売られているのかを確認します。逆に156.70円へ下落する場合は、米金利の低下、日銀の政策見通し、当局の為替けん制を切り分けます。相場の節目は売買の答えではなく、仮説を検証するための基準点です。

ドル円

Point:ドル円と日米金利差の観測

10月9日のドル円は158.34円。米10年債利回りは5.24%、米2年債は4.80%です。158.50円と156.70円を観測ラインとし、突破した際の米短期金利、米長期金利、日本の金利、原油価格を同時に確認します。長期金利だけが下がっても、短期政策見通しが変わらなければ為替の反応は限定的になり得ます。なお、これらの水準は売買シグナルではありません。

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日本株

日経平均は10月6日に70,683.98円と、終値で7万円台を回復しました。しかし、その後は3営業日連続で下落し、9日の終値は69,030.92円。前週末比では約1.06%高だったものの、週後半には7万円を維持できませんでした。一方、TOPIXは4,104.81で週間約0.34%高。両指数とも週間では上昇しましたが、日経平均の上昇率がTOPIXを上回る結果となりました。[出典:日経平均プロフィル・10月9日]

注目すべきはNT倍率です。日経平均をTOPIXで割ったNT倍率は、前週末の約16.7倍から10月9日には約16.8倍へ上昇しました。9月下旬からの推移で見ても日経平均の相対的な強さが目立ちます。ただし、NT倍率の上昇は必ずしも半導体株だけの上昇を意味しません。指数ごとの採用銘柄・算出方法・ウエートの違いを踏まえ、寄与度を確認する必要があります。日経平均の上昇と、日本株全体への買いの広がりは別の問題だとMSマーケット総研は考えます。

もう一つの焦点は国内金利です。10月8日に実施された日本の30年国債入札では、最低落札価格に対応する利回りが4.121%でした。ただし、これは入札結果であって、流通市場の終値ではありません。入札の強弱を判断するには、平均落札価格、応札倍率、入札前後の市場反応を合わせて確認する必要があります。明日、12日がスポーツの日で東証現物市場は休場となりますが、大阪取引所のデリバティブは祝日取引を実施します。米CPIと米国株の反応が、その後の日本株にどう波及するかが焦点です。[出典:財務省・30年国債入札結果]

日本株

Point!検証:7万円回復は上昇トレンドの確認だったか

10月6日の日経平均は70,683.98円。しかし9日は69,030.92円まで下落し、7万円台を維持できませんでした。週間では日経平均+1.06%、TOPIX+0.34%です。NT倍率は約16.8倍まで上昇。指数の相対的な強さは確認できる一方、上昇トレンドの持続は未確認です。次週は米CPI後の金利、ドル円、半導体関連株、TOPIXとの比較で再検証します。

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今週の核心|ISM価格74.0でも10年債は下がった 市場が見ているのは物価そのものか、それとも政策経路と長期金利のズレか

前号からの仮説を答え合わせします。ISM非製造業の価格指数は74.0へ上昇し、物価圧力の再加速は確認されました。FOMC議事要旨でも、参加者の多くが年内の追加利上げを適切と判断していたことが明らかになりました。しかし米10年債利回りは週間で4bp低下し、10年実質金利も1bp低下しています。物価上昇圧力の強さは確認できた一方、それが新たな長期金利上昇に直結するという仮説は、今週の終値では支持されませんでした。

その理由として考えられるのが、政策金利見通しへの織り込みです。9月のFOMC時点で年内追加利上げの方向はすでに示されており、市場参加者にとって完全な新情報ではありませんでした。さらに、直近の雇用統計が労働市場の減速を示したことで、利上げの実施時期は10月より12月が意識されるようになっています。ただし、今週の金利低下を「織り込み済み」だけで説明することはできません。国債入札、債券需要、海外金利、投資家のポジション調整も影響し得ます。重要なのは、タカ派材料の有無ではなく、それが市場の既存予想をどれだけ上回ったかです。

もう一つの焦点がイールドカーブです。米2年・10年債利回り差は9月23日の約26bpから10月9日には44bpへ拡大しています。しかし、前週末10月2日の45bpと比較すると、今週は1bp縮小しました。したがって「直近2週間強ではスティープ化したが、今週だけではほぼ横ばい」というのが正確な評価です。長期金利を押し上げる要因としてタームプレミアムや国債需給が考えられますが、利回り差の変化だけでそれらを断定することはできません。NY連銀のACM推計などと照合し、政策経路と長期保有リスクへの対価を分けて検証します。[出典:NY連銀・Treasury Term Premia]

家計の物価観と債券市場の指標にも差が見られます。10月のミシガン大学消費者調査速報では、1年先の期待インフレ率は4.7%、長期は3.5%でした。一方、10年BEIは前週末の2.36%から2.33%へ小幅低下しています。家計は物価高を強く警戒している一方、市場から計算される長期のインフレ補償は上昇しませんでした。ただし、両者は対象期間も算出方法も異なり、BEIには流動性やインフレリスクへの上乗せも含まれます。この差だけで「債券市場がFRBを信じた」と断定することはできません。[出典:Reuters・ミシガン大学消費者調査]

では次に何を見るべきか。10月14日の米CPIです。コアCPIが予想を上回ったとき、2年債だけが上昇するのか、10年債と実質金利も上昇するのか、BEIがどう反応するのかを確認します。物価の上振れと、追加引き締めを織り込む動き、長期金利独自の上昇要因は同じではありません。私たちは事前に相場の方向を決めつけず、発表後の数字の組み合わせによって仮説を更新します。

来週の見極めCheck Point!

\↓Check Point!↓/

※本記事は市場動向の分析と金融リテラシー向上を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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世界の金利

来週の観測点 米CPI 10/14・米大手銀行決算 10/13・FOMCブラックアウト 10/17 この3つで仮説を判定する

米金利と世界

10月5〜9日の市場は、物価圧力が強まる中でも米長期金利が週間では小幅低下し、米国株は上昇しました。来週は米CPI・米大手銀行決算・FOMCブラックアウトを中心に、物価・金利・企業利益の関係を検証します。10月12日(月)は日本の東証現物市場が休場ですが、大阪取引所ではデリバティブの祝日取引が実施されます。

観測点①|米9月CPI(10月14日21:30)

最優先は総合CPIとコアCPIの前月比・前年比、そして住居費・サービス・財価格の内訳です。原油価格が高止まりしているため、エネルギーの影響を受けやすい総合CPIと、基調的な物価圧力を見るコアCPIは分けて判断します。反証条件:コアCPIが鈍化しても10年債が上昇するなら、物価以外の長期金利要因を再検証します。逆にコアCPIが上振れ、2年債とBEIが同時に上昇するなら、政策引き締め見通しとインフレ補償の双方が強まった可能性があります。[出典:米労働統計局・10月公表予定]

観測点②|JPモルガンほか米大手銀行決算(10月13日)

JPモルガンは13日、米東部時間午前7時ごろに第3四半期決算を発表予定です。同日には他の大手銀行も決算を予定しています。確認するのは純金利収入、預金調達コスト、貸倒引当金、融資需要、投資銀行・トレーディング収益です。金利上昇は銀行の収益機会になる一方、調達コストや信用リスクも押し上げます。反証条件:良好な決算にもかかわらず銀行株が下落するなら、市場は足元の利益より将来の貸倒れや収益鈍化を重視している可能性があります。[出典:JPモルガン公式・決算発表予定]

観測点③|FOMCブラックアウト(10月17日〜29日)

次回FOMCは10月27〜28日、ブラックアウト期間は17日から29日までです。期間中はFOMC参加者の金融政策に関する対外発言が制限されるため、CPI発表後の金利と市場の政策金利見通しが重要になります。現時点では10月利上げの織り込みは限定的ですが、12月については追加利上げが意識されています。反証条件:CPIが強くても10月利上げ確率が大きく上昇しなければ、FRBが追加利上げを急がないとの市場判断が維持されている可能性があります。[出典:アトランタ連銀・ブラックアウト日程]

なお、10月15日21:30には米9月PPI、16日21:30には米9月輸出入物価指数も発表されます。これらはCPIとあわせて企業段階の価格圧力や輸入物価を確認する材料となります。物価が強いから金利が上がる、金利が上がるから株が下がる——その単純な連鎖が成立するかどうかを、次週のデータで検証します。必要なのは結果を予想することではなく、結果が出た後の市場の反応を論理的につなぐことです。