SpaceX(SPCX)決算プレビュー|8/6ロックアップ解除と需給の真実

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SpaceX(SPCX)は6月のIPO後、期待先行の値動きから一転、公開価格135ドルを割り込む108.37ドル(8/2終値)まで調整しました。「宇宙バブルの崩壊」と嘆く声もありますが、MSマーケット総合研究所の視点は異なります。8/4の決算、そして8/6のロックアップ解除という「需給のイベント」を前に、弱気が総意となっている今こそ見るべきデータがあります。
現在の株価低迷は、ファンダメンタルズの悪化というよりも、IPO後の値決めプロセスと需給の歪みが主導しています。特に注目すべきは、浮動株5%未満の市場に対して最大9億1,150万株が解禁されるロックアップ解除のインパクトです。しかし、同時に175.50ドル基準の条件付きトランシェがロックされている事実は、追加の売り圧力が限定されていることも意味します。
本記事では、感情論を排し、Starlinkの契約数や金利環境、そしてロックアップ解除後の需給バランスから、SPCXの現在地と今後の判断基準を解説します。
Check!|今回の結論
SPCXの弱気相場は「バブル崩壊」ではなく「IPO後の需給調整」局面です。8/6のロックアップ解除は9億株超の供給圧力となりますが、175.50ドル基準未達による追加発行ロックや、Starlinkの1,030万契約という実需が下支え要因となります。公開価格割れの今、見るべきは「売り手の出尽くし」と「条件付きトランシェの行方」です。
※掲載内容は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品、株式売買を推奨するものではありません。
本記事のPoint!
- 8/4決算・8/6ロックアップ解除のスケジュール
- 公開価格135ドル割れとアナリスト目標の乖離
- Starlink 1,030万契約の収益への寄与
- 175.50ドル基準未達による追加発行ロック
- FF金利据え置き環境下での需給判断
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※投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。
8/4決算と8/6ロックアップ解除のインパクト
SpaceX(SPCX)にとって、今週は上場後最大の試練となるイベントが連続します。まず8月4日(火)の米市場終了後に第2四半期決算が発表され、翌5日ではなく8月6日(木)にロックアップ解除が予定されています。コールは決算翌日の16:30 ETです。
今回のロックアップ解除は、単なる通過儀礼ではありません。解禁されるのは最大9億1,150万株、時価総額にして最大1,160億ドル規模に達します。IPO時に市場に出回った浮動株が発行済み株式の5%未満であったことを考えると、この供給量は市場の流動性を一変させるインパクトがあります。
通常、IPO直後のロックアップ解除は株価の下落要因として嫌気されます。しかし、現在のSPCXは公開価格135ドルを割り込む108.37ドル(8/2終値)で推移しており、すでに「織り込み」が進んでいる可能性も考慮する必要があり、重要なのは、この巨大な供給圧力に対して、市場がどのような「受け皿」を用意しているか、あるいは初期投資家がどの価格帯で売りを出してくるかという需給の攻防点です。
重要スケジュール
- 8/4 (火): Q2決算発表(市場終了後)
- 8/5 (水): 決算後初日の値動き
- 8/6 (木): ロックアップ第1弾解除(9.11億株)
- 8/6 16:30 ET: 決算説明会コール

用語解説|ロックアップ
IPOに伴い、創業メンバーや初期投資家、従業員が保有する株式の売却を一定期間制限する契約です。
解除日には売り注文が集中しやすく、株価のボラティリティが高まる傾向があります。
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公開価格割れと「弱気の総意」が意味するもの
6月12日のIPOで公開価格135ドル、初値150ドル、初日終値160.95ドルと華々しいデビューを飾ったSPCXですが、その後は一転して下落トレンド入りし、8/2終値では108.37ドルと公開価格を約20%下回る状況です。52週高値225.64ドルからは半値近くまで調整しており、市場センチメントは「弱気一色」です。
しかし、こうした「弱気の総意」こそが、需給の転換点になり得ます。アナリストコンセンサスを見ると、27買い・1売りと圧倒的に強気評価が多く、目標株価平均は236.71ドルと現在値の2倍以上です。この巨大な乖離は、市場がファンダメンタルズではなく「IPO後の需給悪化」のみを織り込みに行っていることを示唆しています。
機関投資家にとっては、公開価格割れは「仕込み時」のシグナルにもなり得ます。特に、8/6のロックアップ解除で初期投資家の売りが出尽くせば、それ以降は本来の企業価値に基づく価格形成へ回帰する可能性が高まります。バブルの熱狂に冷水を浴びせられた今、見るべきは「失望売り」の限界点です。
Q1(3月期)の純損失49.47億ドル、EPS -0.41という数字は、すでに株価に反映されています。問題はこの損失が「構造的なもの」か「成長投資のための一時的なもの」かですが、Starlinkの契約数急増が後者を支持しています。
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IPOデータ
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 上場日 | 6/12 |
| 公開価格 | 135.00ドル |
| 初値 | 150.00ドル |
| 初日終値 | 160.95ドル |
| 8/2終値 | 108.37ドル |
| 調達額 | 約750億ドル |
アナリスト評価
買い: 27
売り: 1
目標平均: 236.71ドル
※市場のセンチメントとプロの評価に大きな乖離あり
Starlinkと宇宙部門のファンダメンタルズ検証
SPCXの企業価値の大部分は、衛星インターネット事業Starlinkが担っています。最新の契約数は1,030万を突破し、全社売上の約7割を占めるまで成長しました。この数字は、宇宙開発という不確実性の高い領域において、安定したキャッシュフローを生む「実需」が確立されたことを意味します。
Q1(3月期)の売上46.94億ドルに対し、純損失は49.47億ドルと赤字が続いていますが、これはスターシップ開発や衛星コンステレーション構築のための巨額投資が要因です。重要なのは、Starlinkの加入者単価(ARPU)と解約率(Churn Rate)の推移です。契約数が1,000万の大台を超えた今、スケールメリットによる黒字転換のフェーズに入りつつあります。
市場は「宇宙=夢」というレッテルでSPCXを語りがちですが、実態は「通信インフラ企業」へと変貌しています。8/4の決算では、このStarlinkのEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)がどう改善しているかが焦点となります。もし黒字化の兆しが見えれば、現在108ドルの株価は「通信インフラ株」としてのバリュエーションで再評価される可能性があります。
Starlinkの成長性
契約数1,030万件は、従来の衛星通信市場を凌駕する規模です。B2B(航空・海事)や政府向け契約の増加が、収益の質を向上させています。
Point!|Q1業績
売上: 46.94億ドル
純損失: 49.47億ドル
EPS: -0.41
※Starlinkが売上7割を牽引
注目セグメント
- Starlink(通信)
- スターシップ(ロケット)
- 政府・防衛向け契約
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175.50ドルの壁と条件付きトランシェの行方
SPCXのIPOには、通常のロックアップ解除とは別に、条件付きの追加トランシェ(株式発行)が含まれています。そのトリガーとなるのが175.50ドルという株価水準です。契約上、株価がこの基準を一定期間上回らない限り、追加の株式発行はロックされ続けます。
現在の株価108.37ドルは、この基準を大きく下回っています。これは、市場参加者にとって「当面の間、追加の希薄化リスク(売り圧力)が発生しない」ことを意味します。8/6のロックアップ解除による既存株主の売りはあっても、企業側からの新規売り出し(増資)による需給悪化は、株価が175.50ドルへ回復するまで封印されているのです。
これは弱気相場における数少ない「安全弁」です。投資家は、175.50ドルという「天井」を意識せずに、純粋な市場の需給(買い手と売り手のバランス)だけで株価を判断できる期間が続きます。逆に言えば、株価が175.50ドルに近づく局面では、この追加発行を警戒した売り戻しが入るため、強力なレジスタンスラインとして機能します。
条件付きトランシェ
基準価格: 175.50ドル
現状: 未達のためロック継続
影響: 追加希薄化リスクの一時消失
需給から見たシナリオ分析と確認指標
FF金利3.50-3.75%での据え置き、年内1.7回の利上げ織り込みという環境は、ハイテク・成長株であるSPCXにとって依然として逆風です。しかし、7月のFOMCで3名が利上げ反対票を投じた事実は、金融引き締めのピークアウト観測を生んでおり、これがSPCXのような「未来への投資」が必要な企業への評価替えにつながる可能性があります。
シナリオ1|ロックアップ出尽くし後の反発
8/6の解禁で初期投資家の売りが出尽くし、需給が改善するパターン。Starlinkの決算が好感されれば、公開価格135ドルを目指す展開が視野に入ります。
※追加トランシェの条件は$175.5
シナリオ2|100ドル割れの長期化
利上げ観測の後退が進まず、ハイテク株全体のバリュエーション調整が続くケース。100ドルを割り込むと、VC(ベンチャーキャピタル)の損切りラインに触れる可能性があり、注意が必要です。
シナリオ3|175.50ドルへの急回復
Starlinkの黒字化宣言や、スターシップの商業運用開始など、強烈なカタリストが発生した場合。ただし、175.50ドルに近づくと追加トランシェの発行懸念が浮上するため、そこでの利確売りが予想されます。
我々MS総研では、SPCXの将来を予言するのではなく、判断基準を渡すことを重視しています。8/6のロックアップ解除後の出来高と、175.50ドルという条件ラインに対する市場の反応こそが、次のトレンドを決定づける鍵となります。
FAQ|よくある質問
ロックアップ解除で株価は暴落しますか?
必ずしも暴落するとは限りません。現在の株価108.37ドルは公開価格を大きく下回っており、すでに弱気材料は織り込まれています。初期投資家の売却が一巡すれば、需給が改善し反発する「あく抜け」相場になる可能性もあります。
175.50ドルの条件付きトランシェとは何ですか?
株価が175.50ドルという基準値に達しない限り、追加の株式発行が行われない仕組みです。現在値はこの基準を下回っているため、企業側からの売り出しによる希薄化リスクは当面発生しません。
Starlinkの契約数は株価にどう影響しますか?
StarlinkはSPCXの売上の約7割を占める主力事業です。1,030万という契約数の増加は、同社のキャッシュフロー創出力を証明するものであり、中長期的な株価の下支え要因となります。
アナリストの目標株価と現在値の乖離はどう見るべき?
アナリスト平均目標236.71ドルに対し現在値は108.37ドルと、2倍以上の乖離があります。これは市場がIPO後の需給悪化のみを過剰に織り込んでいる可能性を示唆しており、ファンダメンタルズに基づく再評価の余地があることを意味します。
金利環境はSPCXにとって逆風ですか?
FF金利3.50-3.75%での据え置きや利上げ観測は、将来のキャッシュフローを現在価値に割り引く際、ハイテク株には不利に働きます。しかし、7月のFOMCでの利上げ反対票の増加など、ピークアウトの兆しが見えれば評価は好転します。
よくある質問|FAQ
ネガティブキャリーは「悪い」ことですか?
必ずしもそうではありません。保有中はコストですが、将来の価格上昇・金利逆転・為替反転を狙う戦略の一部として、意図的に受け入れる場合があります。問題は「逆ざやコストに見合うリターンが見込めるか」です。
スワップポイントとは何が違うのですか?
スワップポイントは、FXで2通貨の金利差から日々受払いされる金額のことです。マイナススワップを払い続ける状態が、FXにおけるネガティブキャリーにあたります。スワップは「手段」、ネガティブキャリーは「状態」と整理すると分かりやすいです。
円キャリートレードはポジティブ?ネガティブ?
一般的な円キャリートレード(安い円を借りて高金利通貨で運用)はポジティブキャリーです。ネガティブキャリーはその逆向き、ドルを売って円を買うような「円高に賭ける」ポジションが代表例です。
出典・更新
最終更新:2026年6月
主な出典(一次資料):
- 日本銀行「金融政策決定会合」公表資料
- FRB「FOMC statement」
- PIMCO「債券運用におけるキャリーとロールダウン」
著者
MSマーケット総合研究所
米国株担当ストラテジスト
佐々木顕二郎

【専門領域】
・米国株・テック株
・ミクロ経済
・金融工学
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