【MS総研】2月全国CPIプレビュー|コアCPIは2%割れ濃厚、原油高は中期の上振れ要因に

日本消費者物価指数

2026年2月の全国消費者物価指数(CPI)は、明日3月24日(火)に総務省統計局から公表されます。先行指標である東京都区部2月分(2月27日公表済み)では、コアCPI(生鮮食品除く総合)が前年比+1.8%と、日銀の物価目標2%を16カ月ぶりに下回りました。

MSマーケット総研では、2月の全国コアCPIは前年比+1.6〜1.8%程度と、1月の+2.0%からさらに鈍化するとみています。最大の押し下げ要因は、政府による電気・ガス代補助金の再開(26年1〜3月実施、CPI反映は2〜4月分)です。ただし、ヘッドライン(表面上の数値)の鈍化だけでインフレの基調が弱まったと判断するのは早計です。

記事の注目Point!

注目すべきは下記の、2つの構造的テーマです。

  1. 中東・イラン情勢の緊迫化を背景とした原油価格の急騰。その影響は2月分に全面反映されるというより、物流費・原材料費を通じて3月以降のCPIに段階的に波及する公算が大きいとみています。
  2. ドル円が159円台という歴史的な円安圏に位置するなか、日銀の追加利上げ観測と当局の為替けん制が交錯していることです。

本記事では、MSマーケット総研の独自分析に基づき、2月全国CPIの読み解き方、原油高が日本の物価に波及するメカニズム、日銀の次の一手、ドル円のシナリオ別見通し、そして投資家が今確認すべき実務ポイントを整理します。

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2月全国CPI:「表面の鈍化」と「基調の粘着性」を分けて読む

消費者物価指数には、大きく3つの見方があります。「総合CPI」「コアCPI(生鮮食品除く)」「コアコアCPI(生鮮食品・エネルギー除く)」です。今回の2月全国CPIを正しく評価するには、この3つを分けて読むことが不可欠です。

直近の実績値をまず押さえる

2月20日に公表された全国1月分のCPI実績を確認しておきましょう。

指標2026年1月(前年比)2025年12月(前年比)
総合CPI+1.5%+2.1%
コアCPI(生鮮食品除く)+2.0%+2.4%
コアコアCPI(生鮮食品・エネルギー除く)+2.6%+2.8%

ここで重要なのは、総合CPIの+1.5%は3年10カ月ぶりの2%割れであった一方、コアコアCPIは+2.6%と依然として底堅い水準を維持していた点です。つまり、エネルギー補助金やガソリン旧暫定税率廃止といった政策要因がヘッドラインを大きく押し下げている一方で、食料品やサービスなど基調的な物価上昇圧力はなお残っています。

MS総研が予想する2月全国CPIの着地点

先行指標の東京都区部2月分では、コアCPIが前年比+1.8%(市場予想+1.7%をやや上回り)、エネルギーが前年比-9.2%と2年1カ月ぶりの大幅下落を記録しました。電気・ガス代補助の再開が最大の押し下げ要因です。

第一生命経済研究所の試算では、全国2月分のコアCPIは前年比+1.6〜1.8%程度と見込まれています。MSマーケット総研としても、コアCPIの2%割れはほぼ確実と判断しています。電気・ガス代補助金のCPIへの下押し寄与は2〜3月に-0.6〜0.7%ポイントと試算されており、その影響は極めて大きいためです。

ただし、ここで「インフレは沈静化した」と結論づけるのは誤りです。コアコアCPIの底堅さが2月分でも確認されるかどうかが、今回のデータの真の注目点です。

日本消費者物価指数(CPI)食品とエネルギー除く前年比

出典:総務省統計局

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原油高はなぜ「2月分」ではなく「3月以降」にCPIを押し上げるのか

中東・イラン情勢の緊迫化を受けて、原油価格は直近で急騰しています。日銀の植田総裁も3月19日の記者会見で「リスクシナリオの可能性が高まった」と明言しました。では、なぜその影響が2月CPIに即座に表れるわけではないのでしょうか。

2月分は政策下押しが圧倒的に大きい

2月分のCPIは、電気・ガス代補助金の再開とガソリン旧暫定税率の廃止という2つの大型政策要因による下押しが同時に作用する局面にあたります。仮に原油価格が上昇していても、補助金によるエネルギー価格の下押し(前年比で-9%前後)が圧倒的に大きく、原油高の直接的な影響はほぼ相殺されます。

真に警戒すべきは「二次波及」のタイムラグ

原油高の本当の怖さは、ガソリン代や電気代への「直接的な影響」ではありません。輸送費の高騰、プラスチック・包装資材の原材料コスト上昇、そして企業の仕入れコスト全般への波及を通じて、食品・日用品・外食・サービス価格が段階的に引き上げられていく「二次波及」です。

この二次波及には通常3〜6カ月程度のタイムラグがあります。つまり、中東情勢が3月に急速に悪化したとしても、その影響が消費者物価に本格的に表れるのは夏場以降です。また、企業の価格転嫁は年度替わりの4月に集中する傾向があり、この点も留意が必要です。

Point!

2月分CPIだけで原油高の影響を測ることは適切ではありません。MSマーケット総研が注目しているのは、原油高が今後の物価見通しを押し上げるリスク要因として、日銀の政策判断にどう織り込まれていくかという点です。

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日銀は0.75%据え置きでもタカ派バイアスを維持

日銀は3月18〜19日の金融政策決定会合で、政策金利(無担保コール翌日物レート)を0.75%に据え置くことを決定しました。2025年12月に0.50%から0.75%へ利上げして以来の据え置きです。

植田総裁「リスクシナリオの可能性が高まった」

注目すべきは、植田総裁が3月19日の記者会見で、中東情勢の緊迫化に伴う原油価格上昇について「リスクシナリオの可能性が高まった」と発言した点です。同時に「もう少しデータや情報が整ったところでもう一度点検し、政策を判断する」とも述べ、利上げ路線を維持する意向を改めて示しました。

これは、日銀が「今すぐは動かないが、次の材料次第では動く」というスタンスを明確にしたことを意味します。特に4月27〜28日の次回会合では展望レポート(経済・物価情勢の展望)が公表され、原油高や為替の影響が見通しにどう反映されるかが最大の注目点となります。

市場の利上げ観測:4月vs6月

金融市場では、次回利上げのタイミングについて見方が分かれています。野村HDのホールセール部門長は4月利上げの可能性が高まると指摘する一方、エコノミストの中には春闘結果や4月の物価改定状況を見極めるため6月まで待つとの見方も根強くあります。NRI(野村総合研究所)の木内氏は、政治的要因も含め年後半(9月)にずれ込む可能性にも言及しています。

いずれにせよ、2月CPIは単独で利上げを決定づけるデータというより、4月会合に向けた「地ならし材料」としての意味合いが強いと考えられます。コアコアCPIの粘着性が改めて確認されれば、利上げへの地合いは着実に固まっていきます。

資産防衛|Point!

金利が上がる前後は、不動産売却のタイミングが資産防衛を左右するPoint!です。 買い手の負担が増えて市場が鈍る前に、早めの査定と売却準備で有利な条件を狙うことが重要です。住み替えや相続で売却を検討している方は、査定から契約・引渡しまで任せられるサービスを活用し、納得できる形で売却を進めましょう。

【金利動向】日銀の金利動向はTradingViewで確認。政策の変化をいち早くチェックし、相場の流れを見極めることが重要です。

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ドル円159円台:円高リスク増大の「条件」を整理する

為替市場では、ドル円が159円台前半〜後半で推移しています(3月19日時点)。歴史的な円安水準が続くなか、当局の円安けん制トーンは日に日に強まっています。

「円買い転換」を断定するのではなく、条件で考える

MSマーケット総研では、「ここから一方的に円高」と断言する立場はとっていません。安全資産としてのドル需要や日米金利差がなお円安要因として作用しているためです。

ただし、以下の3条件が重なると、ドル円が円高方向へ大きく振れるリスクは明確に高まります。

【MS総研】円高方向への急変動を引き起こしうる3条件

条件Point!
  1. コアコアCPIの底堅さが再確認され、日銀の利上げ観測が強まること
  2. 日銀が4月展望レポートで物価見通しの上方修正を示唆すること
  3. 当局のけん制が「過度な変動への警戒」から、実弾介入の警戒水準に移行すること

逆に、CPIが想定以上に弱く、日銀が慎重姿勢を強めた場合、ドル円は再び160円台を試す可能性もあります。

為替介入の現実的なハードル

財務省の月次公表によれば、直近の為替介入実績は0円です。当局は口先でのけん制を続けていますが、実弾介入の発動にはレート水準だけでなく、変動の速度や方向の一方性、さらには国際協調のしやすさといった複数の条件が必要です。

したがって、現時点では「介入が間近」と断定するよりも、「介入警戒が高まる局面に入りつつある」という認識が適切です。投資家としては、介入を前提としたポジションではなく、CPIと日銀のシグナルに基づいてリスク管理を組み立てるべき局面です。

【MS総研の見解】

現局面は、円安トレンドの延長線上に見えても、政策と地政学が相場の方向を突然変える可能性がある局面です。CPI・日銀・当局発言の3点セットでポジションを見直す姿勢が重要です。

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相場の転換点に備えるためのFX口座と証券会社

CPIや日銀会合前後は、スプレッド拡大やスリッページ(注文価格のズレ)が発生しやすい局面です。方向感そのものよりも、エントリーの精度と取引コストの管理が収益を左右します。MS FINANCIAL PRESSの視点で重視するポイントとともに、おすすめの口座をご紹介します。

1. FXの短期売買を重視するなら:約定力とスプレッド

CPI発表直後や日銀会合後の急変動時には、「注文が通らない」「想定と異なるレートで約定される」といったリスクが高まります。このタイミングで利益を取りに行くのであれば、約定力・スプレッド・サーバー安定性を最優先に口座を選ぶことが必要です。

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2. 株式とFXを総合的に管理するなら:手数料と情報力

円高方向へのシフトが起きた場合、輸出関連株の下落と内需・銀行株への資金シフトが同時に進む可能性があります。株式と為替を一つのプラットフォームで確認でき、取引手数料の低い総合証券口座があると、機動的な対応が可能です。

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ノックアウト・オプション

ノックアウトオプションは、あらかじめノックアウト価格を設定することで、最大損失額が取引前に明確になる金融商品です。少額から相場の上昇・下落の両方を狙いやすく、損失管理を重視しながら効率的に取引したい方に向いています。まずは商品性やリスクを確認したうえで、IG証券の取引環境をチェックしてみてください。豊富な銘柄ラインアップや使いやすいツールも、比較検討時のポイントです。ぜひ公式情報をご確認ください。

よくある質問|FAQ

2月全国CPIが弱い数値だった場合、日銀は利上げを見送りますか?

2月CPIのコアCPIが2%を割り込むことはほぼ織り込み済みです。日銀が重視しているのはヘッドラインの数値ではなく、コアコアCPIなど基調インフレの粘着性、春闘の賃上げ動向、そして原油高の先行きリスクです。表面上のCPI鈍化だけで利上げが遠のくとは限りません。日銀は4月の展望レポートで総合的に判断する姿勢です。

原油高の影響はいつ頃から日本のCPIに本格的に反映されますか?

エネルギー価格への直接的な反映は比較的早いですが、現在は電気・ガス代補助が下押ししているため相殺されています。二次波及(物流費・原材料費→食品・日用品価格への転嫁)には通常3〜6カ月のタイムラグがあるため、本格的な上振れ圧力が数字として表れるのは2026年夏場以降とMS総研では分析しています。特に年度替わりの4月に企業の値上げが集中する傾向がある点にも注意が必要です。

為替介入はすぐに実施される可能性がありますか?

エネルギー価格への直接的な反映は比較的早いですが、現在は電気・ガス代補助が下押ししているため相殺されています。二次波及(物流費・原材料費→食品・日用品価格への転嫁)には通常3〜6カ月のタイムラグがあるため、本格的な上振れ圧力が数字として表れるのは2026年夏場以降とMS総研では分析しています。特に年度替わりの4月に企業の値上げが集中する傾向がある点にも注意が必要です。

初心者はこの相場でどう対応すべきですか?

まずは、CPI発表日(3月24日)や日銀会合前後にむやみにポジションを持たないことが基本です。相場の転換点では方向感よりもボラティリティ(価格変動の幅)が大きくなるため、リスク管理が最優先となります。取引を行う場合は、スプレッドが狭く約定力の高い口座で、少額からスタートすることを推奨します。

出典・参考

※本記事はMSマーケット総研の独自見解に基づく情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な判断はご自身の責任で行ってください。
※記事中のデータは2026年3月23日時点のものです。最新の数値は各公的機関の公表資料をご確認ください。

THE BOTTOM LINE|記事の結論

2月全国CPIの焦点は、コアCPIが2%を割り込むかどうかではありません。それはほぼ確実視されています。真の焦点は、政策要因で押し下げられた表面の鈍化の裏で、コアコアCPIがどこまで粘着性を維持しているかです。

原油高は日本の物価にとって無視できない上振れ要因ですが、その本格的な影響はむしろ3月以降に段階的に現れる局面です。日銀は0.75%を据え置きつつも利上げ路線を明確に維持しており、4月の展望レポートが次の重要な分岐点になります。

為替市場では、円安継続シナリオだけでなく、「CPI基調の底堅さ+日銀利上げ+当局介入警戒」という3条件が重なった際の円高方向への急変動リスクにも十分な備えが必要です。断定ではなく条件整理。CPIの数値そのものに加え、日銀がそれをどう解釈するかまで含めて相場を読む視点が、今最も求められています。

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