【マイケル・バーリ】オラクル空売り判明—15兆円債務の闇とAIバブル崩壊の序章か

映画『マネー・ショート(The Big Short)』のモデルとして知られ、2008年のリーマンショックを予見した著名投資家マイケル・バーリ氏(Michael Burry)が、新たなターゲットを定めました。
その対象は、データベース最大手のオラクル(Oracle Corporation / Ticker: ORCL)です。
2024年から続くAI(人工知能)ブームの中で、多くの投資家がハイテク株への強気姿勢を崩さない中、なぜ彼は「オラクル」という巨大企業に対して「プットオプション(売る権利)」を行使し、下落に賭けたのでしょうか?
本記事では、バーリ氏がSubstackで明かした衝撃の理由、オラクルが抱える「15兆円規模の借金爆弾」、そしてエヌビディア(NVIDIA)ではなくオラクルを狙い撃ちした真意について、どのメディアよりも詳しく、専門的な視点から紐解いていきます。
本記事のPoint!
- マイケル・バーリ氏がオラクルを空売りした具体的理由
- 「エゴ」と批判されたオラクルのクラウド戦略の弱点
- 金融セクターを除く最大級「950億ドル債務」のリスク
- 今後のAI関連株投資で注意すべきポイント
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- 1. マイケル・バーリ氏「オラクルの立ち位置が気に入らない」
- 1.1.1. Point!
- 1.1. 辛辣な批判「必要のないことをやっている」
- 2. なぜ「本丸」エヌビディアではなくオラクルを狙うのか?
- 2.1. エヌビディアは「実需」があるが、オラクルは「コスト」が先行する
- 3. 金融セクター除き最大級:950億ドル(約15兆円)の債務リスク
- 3.1. ブルームバーグ・ハイグレード指数で最大の発行体
- 3.1.1. ファンダメンタルズ分析を極める
- 4. 「世紀の空売り」再び?バーリ氏のトラックレコード
- 4.1.1. トラックレコード
- 4.1. 我々個人投資家はどう動くべきか
- 4.1.1. Point!
- 5. Check Point!
- 5.1. 出典・参考文献
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マイケル・バーリ氏「オラクルの立ち位置が気に入らない」
1月9日遅く、マイケル・バーリ氏は自身のSubstackへの投稿で、オラクルに対して弱気(ベア)のポジションを持っていることを明らかにしました。具体的には以下の2つの手法を用いています。
Point!
- プットオプションの保有:株価が下落した際に利益が出るデリバティブ取引
- 直接的なショート(空売り):過去6ヶ月間において実施
通常、ヘッジファンドのポートフォリオは四半期ごとの「フォーム13F(保有銘柄報告書)」でしか確認できませんが、今回のように本人がSNSやブログでリアルタイムに近い情報を発信するのは極めて注目度が高い出来事です。
辛辣な批判「必要のないことをやっている」
バーリ氏のオラクルに対する評価は極めて厳しいものでした。彼はオラクルの現状について次のように記しています。
「オラクルの立ち位置や投資方針が気に入らない。彼らは今やっていることをする必要はなかった。なぜやっているのかもわからない。おそらくエゴだろう。」— Michael Burry (via Substack)
ここで言う「今やっていること」とは、オラクルが近年猛烈な勢いで進めているクラウドコンピューティングサービス(Oracle Cloud Infrastructure: OCI)への巨額投資を指していると考えられます。
AWS(Amazon)、Azure(Microsoft)、Google Cloudという「3大クラウド」が市場を支配する中、後発のオラクルがシェアを奪うためには、データセンターの拡張やGPUの確保に天文学的なコストがかかります。バーリ氏は、この戦略が合理的経営判断というよりも、創業者ラリー・エリソン氏らの「エゴ」による無謀な拡大路線に見えているのです。
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なぜ「本丸」エヌビディアではなくオラクルを狙うのか?
読者からの「AIバブル崩壊を狙うなら、なぜ中心銘柄のエヌビディア(NVIDIA)ではなく、オラクルなのか?」という質問に対し、バーリ氏の回答は、現在の株式市場の構造的な歪みを示唆しています。
エヌビディアは「実需」があるが、オラクルは「コスト」が先行する
エヌビディアは現在、AIチップ(GPU)市場を独占しており、圧倒的な利益率とキャッシュフローを生み出しています。株価は割高に見えますが、それを正当化するだけの爆発的な決算数字を出しています。
一方、オラクルはそのGPUを大量に購入し、データセンターを建設する「顧客側」の立場でもあります。つまり、以下のような構造的なリスクがあります。
| 比較項目 | エヌビディア (NVDA) | オラクル (ORCL) |
|---|---|---|
| 立場 | ツルハシを売る側(利益享受) | ツルハシを買う側(コスト負担) |
| キャッシュフロー | 潤沢なフリーキャッシュフロー | 設備投資(Capex)による圧迫 |
| バーリ氏の視点 | プット保有歴はあるが現在は様子見? | 明確な「売り」対象 |
バーリ氏は昨年11月にエヌビディアやパランティア・テクノロジーズへのプットオプション保有も開示していましたが、今回の発言は、AIブームの中で「稼ぐ企業」と「無理をして投資している企業」の選別がより厳格に行われていることを示しています。
金融セクター除き最大級:950億ドル(約15兆円)の債務リスク
バーリ氏がオラクルをターゲットにした最大の根拠の一つと推測されるのが、その財務バランスシートの悪化です。ここには驚くべき数字が並んでいます。
ブルームバーグ・ハイグレード指数で最大の発行体
報道によると、オラクルの債務残高は約950億ドル(約15兆円)に達しています。これは、米国の投資適格級社債(ハイグレード債)市場において、銀行などの金融セクターを除けば最大規模の借金王であることを意味します。
この巨額債務がなぜ今、リスク視されるのでしょうか。 1. 高金利環境の長期化 FRBの利下げペースが緩やかになる中、これほどの巨額債務に対する利払い負担(インタレスト・カバレッジ)は経営の重石となります。借り換え(ロールオーバー)のコストも以前より高くなっています。 2. 設備投資競争の激化 借金返済にお金を回したいところですが、AI競争に勝つためにはさらなる投資が必要です。オラクルは「借金を返しながら、巨額の投資もしなければならない」という板挟み状態にあると言えます。 3. 期待値の剥落 もしクラウド事業の成長が投資家の期待(あるいは経営陣のエゴ)に届かなかった場合、株価はバリュエーションの修正だけでなく、信用リスクの観点からも売り込まれる可能性があります。
ファンダメンタルズ分析を極める
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「世紀の空売り」再び?バーリ氏のトラックレコード
マイケル・バーリ氏率いるサイオン・アセット・マネジメント(Scion Asset Management)の動きは、常に市場の転換点を示唆してきました。
トラックレコード
- 2008年 金融危機:サブプライム住宅ローン市場の崩壊に賭け、巨万の富を得る。
- 2021年 ARKKショート:キャシー・ウッド氏率いるアーク・イノベーションETFを空売りし、ハイグロース株の暴落を的中。
- 2023年 半導体ショート:SOXS(半導体ベア3倍ETF)などを通じ、一時的な調整局面で利益を狙う。
もちろん、彼の予想がすべて当たるわけではありません。過去には「売り」のタイミングが早すぎて、一時的な含み損に耐える期間もありました。しかし、彼が「割高」「不合理」と判断した箇所には、必ずと言っていいほど構造的な脆弱性が潜んでいます。
我々個人投資家はどう動くべきか
バーリ氏のオラクル空売りから、私たちは以下の教訓を得ることができます。
Point!
- AI関連株を一括りにしない:「AIだから買い」のフェーズは終わり、財務体質が良い企業と、無理をしている企業の選別が必要です。
- 債務比率に注目する:金利がある程度高い状態が続く以上、借金の多い企業の株価上昇余地は限定的です。
- 逆張り思考を持つ:市場が楽観に傾いている時こそ、リスク管理としてヘッジ(プットオプションやベアETF)を検討する価値があります。
オラクルの次の決算発表や、クラウド部門の成長率鈍化のニュースが出た時、市場がバーリ氏の警告を思い出すことになるかもしれません。
Check Point!
マイケル・バーリ氏によるオラクルへのプットオプション保有公表は、単なる一企業の空売りニュースにとどまらず、過熱するAIインフラ投資競争への警鐘と言えます。
「エゴ」と断じられた拡大戦略と、積み上がった15兆円の債務。この2つの重石がオラクルの株価をどう動かすのか、今後の市場展開から目が離せません。



