市場の神は死んだか?|2026年—中央銀行の「見えない糸」と投資利益の正体【新春特別コラム】

明けましておめでとうございます。
2026年の幕開けにあたり、一つだけ、皆様に不躾な問いを投げかけさせてください。
昨年の市場であなたが利益を上げられたとして、それは本当に「あなたの銘柄選定が卓越していたから」でしょうか?
それとも、単に世界中の「金融緩和という名の蛇口」が開いていただけでしょうか?
私たちは今、奇妙な世界に生きています。企業の決算発表よりも、中央銀行総裁の「ほんの数秒の咳払い」に市場全体が一喜一憂する世界です。本稿では、2026年の投資戦略を考える上で避けては通れない、市場を操る「見えない糸(中央銀行の支配力)」について、残酷なまでの現実を解き明かしていきます。
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操り人形たちの舞踏会—市場の異常性
株式市場には古くから「業績相場」と「金融相場」というサイクルが存在しました。しかし、2020年代に入り、この境界線は限りなく曖昧になり、今や「中央銀行相場」とでも呼ぶべき単一のモードが市場を支配しています。
「悪いニュース」が「良いニュース」になるパラドックス
本来、雇用統計が悪化したり、経済指標が低迷したりすれば、それは景気後退のシグナルであり、株価にとってマイナスのはずです。しかし、昨今の市場はどう反応するでしょうか?
「景気が悪い」→「だから中央銀行は利下げをするだろう(蛇口が開く)」→「株買いだ!」
このパブロフの犬のような条件反射こそが、市場が健全な価格発見機能を失い、中央銀行からの流動性供給のみを栄養源とするモンスターに変貌した証拠です。私たちは、企業価値(バリュエーション)を見ているようで、実はFRB(連邦準備制度理事会)や日銀の「顔色」というチャートを見ているに過ぎないのです。
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「見えない糸」の正体|バランスシート相場
なぜ、これほどまでに中央銀行の支配力が強まったのか。その答えは、彼らのバランスシート(総資産)の拡大と、株価指数の相関関係にあります。
マネーサプライと株価の「不都合な真実」
過去15年間のS&P500のチャートと、主要中央銀行(FRB、ECB、日銀)のバランスシート拡大の推移を重ね合わせると、そこには驚くべき一致が見られます。企業利益の成長以上に、「市場に供給されたマネーの総量」が株価を押し上げてきたという側面は否定できません。
Don't fight the Fed.(中央銀行に逆らうな)
ウォール街のこの古い格言は、2026年においても依然として最強のルールです。しかし、問題は「彼らがどちらを向いているか」が、かつてないほど複雑化している点にあります。
2026年のシナリオ—蛇口が閉まる時
さて、ここからが本題です。2026年、この「見えない糸」はどう動くのでしょうか? 楽観的なソフトランディング論が溢れる中で、私たちは以下のリスクシナリオを直視する必要があります。
1. 米国:インフレ再燃と「Higher for Longer」の亡霊
市場は利下げを織り込んでいますが、もし地政学的リスクによる供給ショックや、AI主導の電力需要増によるエネルギー価格高騰が起きればどうなるでしょうか? FRBは再び「引き締め」のカードを切らざるを得なくなります。市場が期待していた「ジャブジャブの流動性」という梯子が外された瞬間、過剰流動性で膨らんだ資産価格(特にハイテク株や暗号資産)は、重力に従うことになるでしょう。
2. 日本:日銀の孤独な正常化プロセス
世界が利下げに向かう中、日銀だけが「金利のある世界」を取り戻そうと動いています。これは通貨(円)の力学を劇的に変える可能性があります。長年、安価な円キャリートレードによって世界中にばら撒かれてきた「円」という流動性が、日本国内へ逆流(レパトリエーション)し始めた時、世界市場の流動性は急速に収縮します。
つまり、2026年の日本株は、「企業業績の好調」と「日銀による流動性回収」の綱引きになるのです。
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【Check Point!】巨人の肩の上で踊るために
「市場は作られている」――そう認めることは、決して敗北ではありません。むしろ、それが現実であると受け入れた投資家だけが、2026年を生き残ることができます。
自分が「見えない糸」に操られている人形であることを自覚してください。しかし、ただ操られるのではなく、糸が引かれる方向(金融政策の方向性)を誰よりも早く察知し、その力が生み出す波に乗ること。これこそが、個人投資家に残された唯一の勝機です。
2026年、チャートを見る時は、ローソク足の向こう側に透けて見える「中央銀行家の指先」を意識してください。テクニカル分析が示すシグナルと、マクロ経済の流動性動向が合致した時こそ、自信を持ってリスクを取るべき瞬間です。
本年も、MS Financial Pressでは、表層的なニュースの裏側にある「マネーの本質」を鋭く分析し、皆様にお届けしてまいります。
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著者紹介
元大手投資銀行
株式担当トレーダー
投資歴20年の現役トレーダー。
米国株・日経平均・為替など主要指数を中心売買分析。
著:ジョ-ン・スミス氏



