中国AI半導体「摩爾線程」が打倒NVIDIAへ|新チップ発表とIPO急騰の全貌

世界的なAIブームの中、半導体市場の覇権争いが新たな局面を迎えています。

中国の人工知能(AI)半導体大手、摩爾線程智能科技(Moore Threads Intelligent Technology)は、業界の絶対王者である米エヌビディア(NVIDIA)への依存を断ち切るべく、新世代のAI半導体を発表しました。

注目すべきは、同社が数週間前に実施した新規株式公開(IPO)です。その規模は中国本土において今年2番目となる巨大案件であり、上場初日の株価は一時500%を超える記録的な急騰を見せました。

「中国のエヌビディア」と呼ばれる企業の台頭は、投資家にとって新たなチャンスなのか、それとも米中対立の火種となるのか。本記事では、元エヌビディア幹部が率いる摩爾線程の最新戦略と、驚異的なスペックを誇る新アーキテクチャー「花港(Huagang)」の詳細、そして加熱する中国半導体市場の現在地を、どこよりも詳しく解説します。

【AD】資産ポートフォリオ投資資金だけに偏っていませんか?ちゃんと分散ませんか?

\1万円からでも投資できる不動産投資!/

※投資は必ず自己責任の元行って下さい。

打倒NVIDIAの切り札|新アーキテクチャー「花港(Huagang)」の衝撃

20日、北京で開催された同社のイベントにて、摩爾線程の創業者兼CEOである張建中(Zhang Jianzhong)氏は、自信に満ちた表情で新製品を披露しました。

計算密度50%向上、エネルギー効率は10倍へ

張氏によると、今回発表された新世代半導体の核心となるのが、独自開発されたアーキテクチャー「花港(Huagang)」です。この新技術は、従来の製品と比較して以下の点で飛躍的な進化を遂げています。

進化を遂げたPoint!

  • 計算密度:従来比50%向上
  • エネルギー効率:驚異の10倍改善
  • ターゲット:世界トップクラスの計算速度を求める開発者層

張CEOは、「これらの製品は、世界トップクラスの計算速度と能力を向上させ、あらゆる開発者が求める水準を実現する」と強調。「中国のより多くの開発者のニーズに応え、国外の先端製品を待たずに済むようにしたい」と述べ、米国の輸出規制により最新のNVIDIA製チップ(H100やBlackwellなど)を入手できない中国国内企業の受け皿となる意志を明確にしました。

NVIDIA「Blackwell」への対抗馬「華山(Huashan)」

新アーキテクチャー「花港」に基づいて設計された半導体チップは、「華山(Huashan)」と名付けられました。

この「華山」は、市場におけるポジショニングとして、NVIDIAの現行主力製品である「Hopper(H100/H200)」アーキテクチャー、さらには次世代の「Blackwell(B100/B200)」アーキテクチャーと直接競合することを想定しています。 なぜ「華山」なのか? 中国五岳の一つである険しい名山になぞらえ、困難な技術的障壁を乗り越え、頂点を目指す同社の決意が込められていると考えられます。

中国テック株や半導体市場に投資するなら

摩爾線程(Moore Threads)やメタXのような新興企業の台頭により、半導体市場は激動の時代を迎えています。最新の海外市場動向をキャッチし、チャンスを逃さないためには、高機能なツールや海外株に強い証券口座が必須です。

※AD

「元NVIDIA幹部」が率いる国家チャンピオンへの道

摩爾線程が単なる「中国のスタートアップ」枠に収まらない最大の理由は、その経営陣の背景にあります。CEOの張建中氏は、かつてNVIDIAに14年間在籍し、中国市場でのビジネス拡大を牽引した重要人物でした。

GPUを知り尽くした男の独立

2020年、張氏はNVIDIAを退社し、摩爾線程を創業しました。彼はNVIDIAの強みであるGPU(画像処理半導体)の構造と、AI開発におけるエコシステムの重要性を誰よりも深く理解しています。

創業当初、同社はゲームやビジュアルレンダリング向けのGPUで収益基盤を固めました。しかし、生成AIブームの到来とともに、事業の軸足を急速にシフトさせます。現在は、AIソフトウェアの開発・運用に不可欠な「AIアクセラレーター」の開発に全力を注いでいます。

「国外の先端製品を待たずに済むようにしたい」張建中 CEO

この発言は、単なるビジネス上の目標だけでなく、米国の輸出規制に対する中国国内の「飢餓感」を的確に捉えています。エヌビディアを知り尽くした彼だからこそ、顧客が何を求めているのか、そしてエヌビディアの「隙」がどこにあるのかを戦略的に突くことができるのです。

IPOで株価500%超の上昇|投資家の期待と熱狂

中国当局が「世界水準の半導体産業の育成」を国策として推し進める中、摩爾線程への市場の期待値は計り知れません。

今年2番目のIPO規模、初日はお祭り騒ぎ

12月5日、上海市場に上場を果たした摩爾線程。そのIPO規模は中国本土で今年2番目という巨大なものでした。特筆すべきは、上場初日のパフォーマンスです。

株価は一時、公開価格から500%を超える上昇を記録しました。これは、投資家たちが「次のNVIDIA」が中国から生まれることに賭けている証拠と言えます。

競合「メタX」も755%急騰

この熱狂は摩爾線程だけにとどまりません。12月17日には、「中国のエヌビディア」の異名を持つもう一つの有力企業、沐曦集成電路(メタX)が上場。こちらも初日に一時755%という驚異的な急騰を見せました。

これらの株価の動きは、以下の要因が複合的に絡み合っています。

株価の要因

  • 国策への期待:政府による強力なバックアップが見込まれること。
  • 代替需要:米国の制裁により、NVIDIA製品の正規ルートでの入手が困難であること。
  • AIバブル:世界的な生成AI開発競争において、ハードウェア供給企業が最も利益を得る構造であること。

ハードだけではない|NVIDIA「CUDA」への対抗策「MUSA」

半導体業界において、NVIDIAの牙城を崩すのが難しい最大の理由は、ハードウェアの性能ではなく、同社が構築したソフトウェアプラットフォーム「CUDA(クーダ)」の存在です。世界中のAI開発者はCUDAに慣れ親しんでおり、ここから離脱するのは容易ではありません。

「MUSA」アップデートの重要性

摩爾線程はこの課題を十分に認識しています。今回のイベントで、同社は独自のコンピューティングプラットフォーム「MUSA」のアップデートを発表しました。

MUSAは、NVIDIAのCUDAに相当する存在として位置づけられています。張CEOは、MUSAの互換性と使いやすさを向上させることで、開発者がスムーズに摩爾線程のチップへ移行できる環境を整えようとしています。

数万個規模の接続サーバーも披露

さらに、同社は数万個のAI半導体を接続できる大規模サーバークラスターも披露しました。これは、ChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)の学習には、単体のチップ性能だけでなく、数千〜数万個のチップを連結して動作させる「スケーリング性能」が不可欠だからです。

このサーバー技術の展示は、摩爾線程が小規模な推論タスクだけでなく、国家レベルの大規模なAI学習インフラを担う準備ができていることをアピールするものです。

🚀 「次のNVIDIA」を探す投資チャンス

摩爾線程(Moore Threads)のような新興企業の台頭により、半導体関連銘柄はかつてない活況を見せています。激動する中国市場や米国テック株の波に乗るには、海外情報に強く、取扱銘柄が豊富な証券口座が必須です。

  • 中国株・米国株のリアルタイム分析
  • 機関投資家レベルの市場データ閲覧
  • 手数料を抑えた海外株式取引

\外国株式投資に強い証券会社!/

▶︎注目の半導体銘柄をチェックする

※AD含む

【Check Point!】中国AI半導体の未来と懸念点

摩爾線程(Moore Threads)の新チップ「華山」と新アーキテクチャー「花港」の発表は、米国の制裁下においても中国の半導体開発が着実に進歩していることを示しました。

元NVIDIA幹部による的確な戦略、IPOによる潤沢な資金調達、そして政府の強力な支援。これらが揃った今、摩爾線程はNVIDIAにとって無視できない「潜在的なライバル」へと成長しつつあります。

しかし、課題も残されています。

中国AI半導体の課題

  • 製造プロセスの壁:先端チップの設計ができても、それを製造するための露光装置(ASML等)の入手が制限されている中で、量産体制を維持できるか。
  • エコシステムの成熟度:「MUSA」が本当に「CUDA」の代替となり得るのか、開発者の支持を得られるか。

投資家としては、500%や755%といった爆発的な株価上昇に飛びつく前に、これらの技術的・政治的リスクを冷静に見極める必要があります。それでも、中国国内の巨大な需要を独占できる可能性がある「ナショナルチャンピオン」企業としての魅力は、今後も薄れることはないでしょう。

出典・参考リンク

元大手投資銀行(IBD)

リサーチ部門担当アナリスト

アナリスト歴12年

現エムズインベストメント投資情報局

リサーチ部門担当

専門は財務諸表分析、また、各国ファンダメンタルズ、マクロ経済を研究分析。

著:シューケル順子氏

\LINE登録で分析レポートをゲット!/

LINE限定で、ここだけの深掘り投資情報や最新ロジックの詳細を無料で配信。今すぐ友だち追加して、ワンランク上の情報を手に入れましょう!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です