日銀0.75%維持の欺瞞|金利上昇の真犯人は「財政懸念」ではなく「日銀の出遅れ」だ【2026年1月決定会合】

2026年1月23日、日本銀行は金融政策決定会合において、政策金利を0.75%程度に維持することを決定しました。市場コンセンサス通りの結果とはいえ、コアCPIが2.7%の高水準にある中での「据え置き」判断には、多くの疑問符がつきます。

メディアでは「高市政権の積極財政懸念により長期金利が上昇している」という論調が目立ちますが、MSマーケット総研(MS FINANCIAL PRESS)の見解は異なります。

現在の金利上昇の真犯人は、財政ではなく「日銀の対応の遅れ」にある。

本記事では、今回の決定会合の内容を整理しつつ、MMT(現代貨幣理論)的な視点も交え、なぜ日銀の現状維持がリスクなのか、そして投資家がとるべき戦略について深掘りします。

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タカ派的据え置き?日銀決定会合のポイント整理

まずは、1月23日の決定会合のファクトを確認しておきましょう。結果は「据え置き」でしたが、その内容は将来の利上げを強く示唆するものでした。

決定内容の要約

要約内容

  • 政策金利:0.75%程度で維持(賛成多数)。
  • 反対票:高田創審議委員が「1.0%への利上げ」を提案し反対。
  • 展望レポート:
    • 2026年度の消費者物価(コアCPI)見通しを前年比+1.9%へ上方修正。
    • リスクバランスは「概ね上下にバランスしている」と判断。

特筆すべきは、高田審議委員による「1.0%への利上げ提案」です。これはボードメンバー内でもインフレに対する危機感、すなわち「今の金利水準では物価を抑制できていない」という認識が広まっている証左と言えます。

市場の歪んだ解釈

会合後、債券市場では先物が売られ(金利上昇)、為替は円安傾向が続いています。一般的には「日銀がタカ派姿勢を見せたが、それでも緩和的だから円が売られた」と解説されます。

しかし、この解釈は表面的すぎると言わざるを得ません。次章から、MSマーケット総研独自の視点で、この「違和感」の正体を暴いていきます。

MS独自分析1:コアCPI 2.7%は事実上の「利上げ」環境である

日銀は「現在の実質金利は極めて低い」と繰り返し説明し、緩和的な環境が続いていることを強調しています。しかし、我々はこの認識に対して明確に「NO」を突きつけます。

体感としてのスタグフレーション

現在、生鮮食品を除くコアCPIは前年比2.4%〜2.7%近辺で推移しています。長年デフレに慣れ親しんだ日本経済、そして賃金上昇が物価に追いついていない多くの家計にとって、この物価上昇は「強制的な資産の目減り」に他なりません。

例えば、現金の価値が年3%近く毀損していく状況は、経済活動に対して「3%のネガティブ金利(課税)」を課しているのと同じです。日銀が「名目金利0.75%は低い」と言い張っても、生活実感や企業コストとしての負担は、すでに引き締め局面に入っているのと同等の痛みを伴っています。

「実質金利が低い」は日銀の言い訳に過ぎない

植田総裁は「実質金利(名目金利 - 予想インフレ率)が低いから緩和的だ」と主張します。しかし、これは因果関係を取り違えています。

実質金利が低くなってしまっているのは、日銀が利上げを躊躇し、インフレ(期待インフレ)を放置した結果に過ぎません。

「利上げできない理由」を探した結果、自分たちの不作為によって生じた「低い実質金利」を、あたかも意図的な政策効果であるかのように語るレトリックには注意が必要です。

MS独自分析2:金利上昇の真犯人は「高市財政」ではない

今回の市場動向で最もミスリードされているのが、「高市首相の積極財政(消費税減税発言など)が財政懸念を招き、国債が売られている」という説です。これに対し、我々は明確に反論します。

「政府の黒字=民間の赤字」という大原則

マクロ経済会計の恒等式として、以下の事実は覆せません。

政府の赤字 = 民間の黒字(資産)

政府がPB(プライマリーバランス)黒字化を目指して緊縮財政を行えば、それは民間から資産を吸い上げることを意味し、経済は縮小します。逆に、高市政権が掲げる積極財政は、民間のバランスシートを強化する行為です。

自国通貨建て国債を発行できる日本において、財政破綻リスクによる金利上昇(ソブリンリスク)など、現時点では考慮に値しません。

「悪い金利上昇」の正体はフィッシャー効果

では、なぜ長期金利は上昇しているのか。それは財政リスクではなく、「日銀への不信感」によるインフレプレミアムの上昇です。

経済学のフィッシャー方程式(名目金利 = 実質金利 + 期待インフレ率)で考えれば答えは明白です。

悪い金利上昇の内容

  1. 市場は「日銀は利上げが遅れている(Behind the curve)」と判断している。
  2. そのため、将来のインフレ率がさらに高まると予想する(期待インフレ率の上昇)。
  3. 結果、債券利回りにインフレプレミアムが上乗せされ、名目金利が上昇する。

つまり、市場は高市首相の財政出動を恐れているのではなく、「政府がアクセルを踏んでいるのに、日銀がブレーキ(利上げ)を適切に踏まないこと」を恐れているのです。このポリシーミックスの不整合こそが、現在のボラティリティの根源です。

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結論:投資家はどう動くべきか

日銀の現状維持決定と展望レポートの修正から読み取れる未来は、以下のシナリオです。

シナリオ:インフレの定着と遅れた急激な利上げ

日銀が今回0.75%に据え置いたことで、インフレ圧力は継続します。その結果、市場は「次の利上げ(おそらく1.0%)」を早期に織り込みに行きますが、日銀の行動が後手に回る限り、円安と債券安(金利上昇)のトレンドは変わりにくいでしょう。

MSマーケット総研の視点

「政府の財政出動が悪」という偏ったメディア報道に惑わされてはいけません。以下のポイントを重視してポートフォリオを構築すべきです。

MSマーケット総研の意見

  • 現金ポジションの再考:コアCPI 2.7%の環境下で現金を寝かせることは、確実な損失を意味します。
  • 株式への影響:インフレは名目売上を押し上げるため、価格転嫁力のある企業にとっては追い風です。円安恩恵銘柄も引き続き注目ですが、金利上昇によるバリュエーション調整には警戒が必要です。
  • 債券投資:日銀が市場の期待インフレを鎮静化できるまで(=本気の利上げ姿勢を見せるまで)、国内債券への強気なエントリーは時期尚早と考えます。

我々は、Sify Technologies(AIデータセンター投資)の事例でも述べた通り、「借入(負債)」そのものを悪とは見なしません。「その資金が成長分野に使われるか」、そして「マクロ環境に適応しているか」が重要です。国家財政も同様に、規模ではなくその効果を冷静に見極める必要があります。

市場変動を味方につけるポートフォリオ戦略

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出典・参考文献

※本記事は2026年1月23日時点の情報に基づき作成されています。投資判断は自己責任にてお願いいたします。

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