THIS WEEK MARKET|26.10.26〜30

- 1. 10/27─原油とホルムズ|AI調整の陰で再点火した「インフレの上流」
- 1.1.1. Point!
- 1.1.2. IG証券、元祖オプション取引
- 2. 10/28─FOMC|ウォーシュ議長は原油高を「見過ごす」のか
- 2.1.1. Point!
- 2.1. FOMC Check Point!:4項目
- 2.1.1. 【PR】レバレッジを掛けて株取引!
- 2.2. 今週の注目経済指標
- 3. 10/28─原油と長期金利|10年債5%を引っ張る「2本の綱」
- 3.1.1. 用語解説|Point!
- 4. 10/29─GDP速報値とPCE|FOMCの「翌日」に出る答案
- 4.1.1. \Check! Free tool!/
- 5. 今週の巨大テック決算|AI投資は「金利5%」に耐えられるか
- 5.1.1. Point!
- 5.1.2. 海外の株取引
- 6. 10/30─日銀会合とドル円|原油高は再び円の「敵」になるか
- 6.1.1. 関連記事
- 6.1. 【無料】LINEマガジン
- 7. よくある質問|FAQ
- 8. 結論|Opinion
- 8.1.1. 反証条件
- 8.1. ▶︎EDGE LOGIC LABで学ぶ!
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先週の株式市場はAI調整が主役でした。日経平均は前週末比2,631円安の62,693円、ナスダックは2週連続安。同じ週、ブレント原油は週間+6.2%の116.72ドルと4月以来の高値で引けました。市場の主役はAIに見えますが、インフレの上流では別の火が再び強まっています。
今週の本題は28日のFOMC(日本時間29日午前3時)です。市場の大勢は据え置き予想。問いは「利上げするか」ではなく、ウォーシュ議長が原油高を「一時的」として見過ごすのかです。9月CPIは前年比3.7%へ再加速しています。
日程は27日イスラエル総選挙、28日FOMC、29日GDP速報値とPCE、30日日銀会合です。翌週11月3日は米中間選挙。米紙は米・イスラエルが中間選挙後の対イラン攻撃再開を計画していると報じました。今週は、2つの選挙に挟まれた静けさの中で金融政策が決まる週です。
本記事のPoint!
- 先週の主役はAI調整。一方でブレント原油は週間+6.2%の116.72ドル
- FOMCは据え置き予想が大勢。焦点はウォーシュ議長が原油高を見過ごすか
- 答え合わせの計器は米2年債4.69%。実効FF金利3.88%との差に注目
- 27日イスラエル総選挙、11月3日米中間選挙。選挙に挟まれたFOMC週
※注意:本記事は市場分析を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。
10/27─原油とホルムズ|AI調整の陰で再点火した「インフレの上流」
先週の株式市場の話題はAI関連の資金繰り不安でした。しかしブレント原油は23日に116.72ドル(+3.14%)と4月29日以来の高値、3週連続上昇。WTIも103.27ドル。フーシ派によるサウジのエネルギー施設攻撃と、UAE沖の油流出が重なりました。
ここで見るべきは、原油の価格よりも、供給の通り道がどれだけ細っているかです。10月のホルムズ周辺の船舶攻撃は28件と過去最多(開戦以来113件)。IMF PortWatchでは18日の通航が4隻(危機前の基準は1日85隻)。
ただしデータは割れています。Kplerでは14日までの週のホルムズ経由輸出は日量940万バレルと戦前の約70%。タンカーがAIS(船舶自動識別装置)を切り夜間航行するためです。供給が見えないこと自体が、リスクプレミアム(不安に払う上乗せ分)を押し上げると読んでいます。
ネタニヤフ首相は27日の総選挙前の攻撃は「好都合ではない」と発言。米紙は11月3日の中間選挙後の攻撃再開を計画と報じ、トランプ大統領は「イランとは交渉していない」と述べました。28日のFOMCはリスクの窓が開く前に開かれます。原油の次の節目は4月29日のブレント118.03ドルです。
Point!
ブレントは北海原油を基準とする国際指標で、海上輸送の原油価格に連動しやすいです。WTIは米国内陸の指標。23日の差は約13.45ドル。差が広がるのは、問題が米国内ではなく「海の上」の供給にあるサイン。ホルムズを読むときはブレントを主、WTIを従とします。
10/28─FOMC|ウォーシュ議長は原油高を「見過ごす」のか
28日のFOMC結果は日本時間29日午前3時、会見は3時30分。政策金利は9月に全会一致で3.75〜4.00%へ引き上げ済み。今回はSEP(ドットチャート)の公表がなく、材料は声明文と会見だけです。
市場の大勢(コンセンサス)は据え置き予想。議長は16日、「会合の結果を予断しない」「世界は概ね我々の想定どおり」と述べ、予想を上回るインフレでも経済の評価を変えませんでした。焦点は動くかどうかではなく、原油高を一時的な供給ショックとして見過ごすか?どうかです。
教科書では中銀はエネルギー高を見過ごします。前提はショックが短く期待インフレが動かないこと。しかし9月CPIのコア前月比は2カ月連続+0.3%、航空運賃+1.2%、エネルギーを除くサービス+0.4%。ミシガン大5年先期待インフレは10月速報で3.5%。その前提は揺らぎ始めています。
ウォーシュ氏はかねて「インフレは選択であり、FRBが責任を負うべきだ」と主張してきました。会見で原油高を「一時的」と明言すれば、それ自体が大きな政策シグナル。逆に見過ごさない姿勢なら、据え置きでも、言葉が引き締めとして2年債とドルに効きます。
Point!
「据え置き=ハト派」とは限りません。判断は政策金利ではなく、発表後の米2年債(23日4.69%)で確認します。上がればタカ派的な据え置き、下がれば市場が「原油は見過ごされる」と読んだサインです。
FOMC Check Point!:4項目
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今週の注目経済指標
今週の金融市場を読み解くうえで欠かせない、主要経済指標と金融政策イベントを整理しました。米国の雇用統計、物価指数(CPI・PCE)、FOMC、日銀の金融政策決定会合など、相場を動かす重要日程を確認できます。発表結果だけでなく、市場予想との差や金利・為替・株価への影響を考えることが重要です。今後の投資判断に向けて、関連記事や経済指標カレンダーもあわせてご覧ください。
10/28─原油と長期金利|10年債5%を引っ張る「2本の綱」
28日はFOMCと同じ日に米EIA週間原油在庫(日本時間23時30分)が出ます。米10年債利回りは23日に5.00%。19日の5.15%から22日に4.96%へ下げ、23日に5.00%へ戻しました。
10年債は2本の綱に引っ張られています。AI株の売りは安全資産としての国債買いを呼び、利回りを下げます。原油高はインフレ懸念を通じて利回りを上げます。株安なら金利低下という常識は、原油ショックの下では成り立ちにくくなります。
金利は水準で見ます。米2年債4.69%は実効FF金利3.88%を約0.8%pt上回り、3カ月物も4.22%。10年債と2年債の差は+0.31%pt。市場は今回の据え置きを前提にしつつ、その先の引き締めを価格に残していると読めます。
10年債は10月5日に過去1年の最高5.31%を付けた後も5%前後。30年固定住宅ローン金利は7.32%。原油が下がらない限り、長期金利の上流は止まりません。その金利は、後述するAI投資の資金繰りに直結します。
用語解説|Point!
ブレークイーブン・インフレ率(BEI)は、普通の国債と物価連動国債の利回り差で、市場が織り込む将来インフレ率の目安です。10年債利回りの上昇をBEI上昇で説明できればインフレ由来、BEIが動かず利回りだけ上がれば実質金利・財政由来と切り分けます。
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10/29─GDP速報値とPCE|FOMCの「翌日」に出る答案
29日(日本時間21時30分)は7〜9月期GDP速報値と9月PCEが同時に発表されます。成長と物価というFRBの2つの使命を、同じ日に確認する日です。
4〜6月期GDPは年率+2.2%。アトランタ連銀GDPNowは7〜9月期を+3.5%(10月20日時点)と推計し、設備投資が牽引しています。強い成長は「利上げに耐えられる経済」の根拠になります。
8月はPCE前年比+3.4%、コアPCE+3.0%(前月比+0.2%)。9月CPIでコアが上振れたため、コアPCEにも波及が出るか。特に輸送や航空運賃など、エネルギーの間接的な影響がサービスに入っているかを見ます。
順番が重要です。FOMCはこのデータの前日に結論を出します。ただしPCEはCPIやPPIからある程度推計できるため、FRBは数字をほぼ見通したうえで判断していると考えられます。市場の驚きは、FRBの想定とのズレから生まれます。
同日の新規失業保険申請は、前週19.4万件と1960年代後半以来の低水準圏。成長が強く、雇用が崩れず、物価が染み出すなら、12月会合の判断材料は引き締め方向に積み上がります。
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米原油(USOIL)、北海ブレント(UKOIL)、米2年債利回り(US02Y)を1つのチャートに重ねて表示。原油が上がっても2年債が反応しなければ、市場は「FRBは原油を見過ごす」と読んでいるサイン。連動して上がれば、利上げ観測が強まっている証拠です。
今週の巨大テック決算|AI投資は「金利5%」に耐えられるか
先週はAI関連の資金繰り不安が噴き出し、22日にはSOX指数が6.7%安。ナスダックは2週連続安で、最高値から約6%下。日経平均の週間下落率(−4.03%)がTOPIX(−2.46%)より大きいのは、値がさの半導体株の影響を受けやすい株価平均型の指数だからです。
今週はマイクロソフト、アルファベット、アマゾンが決算を発表します。見るべきは売上よりも、設備投資(CapEx)の見通しと、その資金をどう賄うかです。
10年債が5%の世界では、借りて投資するコストが上がります。AIデータセンターのような長期投資ほど、資金調達条件が業績を左右します。株価の評価軸は、投資の量から資金繰りへ移りつつあると読んでいます。
10月のS&P500はAI関連を除く指数が約+6.6%、全体は約−0.4%(23日時点)。エネルギー株は23日に+2.5%で過去最高値、ラッセル2000は週間+2.0%。資金は株式市場から抜けたのではなく、AIからエネルギー株や小型株へ移っていると読んでいます。
Point!
- 設備投資(CapEx)の見通し
- クラウド部門の売上の伸び
- フリーキャッシュフロー
- 社債・リースなど資金調達への言及
※AI投資を読むなら、上から順に見るのではなく、特に3番目と4番目を重視します。金利5%の環境では、稼ぐ力と同じだけ払う力が問われます。
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海外の株取引
決算後はハイテク株だけでなく、エネルギー株や小型株への資金の移り方も確認してください。指数が横ばいでも、中身が入れ替わっている局面があります。
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10/30─日銀会合とドル円|原油高は再び円の「敵」になるか
為替では、ドル円は23日に156.87円。週半ばまでの158円台から、株安を受けたリスク回避の円買いで久しぶりの156円台へ。ユーロ円も一時175.10円と約1年ぶりの円高水準を付けました。
円相場では、原油高は本来、円の「敵」です。日本はエネルギーの多くを輸入に頼るため、原油高は貿易赤字を通じて円売り圧力になります。先週は、株安による円買いがこの圧力を覆い隠したと読んでいます。
30日の日銀会合は1.25%据え置き観測(9月に1.0%から引き上げ済み)。焦点は展望リポートで「基調的な物価上昇率が2%程度に到達」と判断するか、27年度物価見通しの上方修正、12月への地ならし。8月全国コアCPIは+1.7%ですが電気・ガス支援の押し下げを含み、支援は9月使用分で終了予定です。
方向は2つの組み合わせで読みます。FRBがタカ派的な据え置き、日銀が慎重なら円安方向。FRBが原油を見過ごし、日銀が12月を示唆すれば円高方向。7月末には日米当局による円買い協調介入も行われており、円安が進む局面では当局の姿勢も観測点になります。
- 米国据え置き予想
10/28 FOMC。3.75〜4.00%で据え置き予想、焦点は原油高への姿勢
- 日本12月が焦点
10/30 日銀。1.25%で据え置き観測、展望リポートの物価判断
- 為替綱引き
原油高の円売り圧力と、リスク回避の円買いの綱引き
関連記事
よくある質問|FAQ
原油が上がると、なぜ米国の金利まで上がるのですか?
ガソリンや輸送費を通じて物価が上がり、続けば将来の物価予想(期待インフレ)も上がります。FRBが最も警戒するのはこの期待の上昇です。9月CPIのエネルギーは前年比+20.4%、ミシガン大の5年先期待インフレ率は10月速報で3.5%へ上昇。市場は追加利上げの可能性を金利に織り込みます。
今週のFOMCで利上げはありますか?
市場の大勢は据え置き予想です。ただし私たちは結果を予想しません。見るべきは声明文のエネルギー評価、反対票の有無、会見で原油高を「一時的」と言うか。発表後の米2年債の上下が、市場の解釈の答えになります。
ホルムズ海峡の通航量はどこで確認できますか?
IMFの「PortWatch」で、船舶の位置情報(AIS)に基づく通航数を無料で確認できます。ただし現在はAISを切って航行するタンカーがあり、実際の流れより少なく映る可能性があります。民間の推計(Kplerなど)と並べ、「幅」で見るのが有効です。
日銀が今回据え置いたら、円安になりますか?
据え置きは広く予想されており、それだけで大きく動くとは限りません。焦点は展望リポートの物価判断と、植田総裁が12月の利上げに含みを持たせるか。一方で、原油高による貿易赤字の拡大は円安圧力として残ります。
出典・更新
最終更新:2026年10月26日
主な出典(一次資料):
- Federal Reserve Board「Meeting calendars and information」
- U.S. Bureau of Labor Statistics「Consumer Price Index」
- U.S. Bureau of Economic Analysis「Release Schedule」
- U.S. Department of the Treasury「Daily Treasury Par Yield Curve Rates」
- U.S. Energy Information Administration「Weekly Petroleum Status Report」
- IMF「PortWatch」
- 日本銀行「金融政策に関する決定事項等」
著者
MSマーケット総合研究所
Research(リサーチ部門)
ジェシカ・ミラー


【担当部門】
マクロ経済/金融政策/企業分析
結論|Opinion
今週の作業仮説を提示します。
先週の株式市場はAI調整に目を奪われました。しかし同じ週、ブレント原油は半年ぶりの高値へ上昇し、9月CPIは前年比3.7%へ再加速しました。今週を動かす上流は、AIではなく原油だと考えています。
市場の大勢は10月FOMC据え置きです。ただし議長が原油高を見過ごさない姿勢を示せば、据え置きでも2年債とドルを通じて実質的な引き締めとして効きます。逆に「一時的」と明言すれば、それ自体が大きな政策シグナルになります。
リスクの窓はFOMCの後に開きます。27日のイスラエル総選挙、11月3日の米中間選挙。その後に攻撃再開の計画があると報じられています。今週の静けさは、選挙日程が作った条件付きの静けさかもしれません。
日本市場では、原油高が円安圧力として戻ってくるかが焦点です。日銀の据え置きは織り込み済みで、見るべきは展望リポートの物価判断と12月への地ならしです。
次の本番は11月から12月です。11月3日の米中間選挙、11月10日の米10月CPI、そして議長自身が見極めの局面と位置付けた12月8〜9日のFOMC。今週はその前提を組み立てる週です。
AIのニュースを追うことと、市場を読むことは違います。原油→物価→期待インフレ→2年債→為替の経路を一本のロジックでつなげば、ニュースの量に振り回されません。予想を当てることより、どの条件が崩れたら見方を変えるかを先に決めておく。今週は、その姿勢が最も試される週です。




