LAST WEEK MARKET 26.8.24〜28

LAST WEEK MARKET
ウォーシュが金利の主語を財政からインフレへ書換えた 市場が値段をつけたのは2年債、つけなかったのは雇用の改定値
先週、米株は3週ぶりに週間プラスで終えました。S&P500は7,711.76(金−0.25%、週+0.5%)、ナスダック総合は26,402.42(金−0.52%、週+0.9%)、NYダウは53,559.99(金−0.02%、週+0.5%)です。
しかし同じ金曜、2年債は+12.8bpの4.360%へ急騰し、CME FedWatchの9月利上げ確率は約35%から約57%へ跳ねました(CNBC。ロイターは約60%)。金は8/28に約3%下落し、8月につけた4,697ドルのピークから離れ、BTCも高値圏保ち合いとなりました。
「タカ派講演=全面高」でも、「週のツイスト=財政プレミアム後退」でも、単独では今週は説明できません。週で見ればツイスト(2年↑・30年↓)、金曜1日で見ればベアフラット(全年限↑、ただし2年が突出)です。
MSマーケット総研が注目する本質はこうです。今週、主語は3つ争っていました。財政(30年)、インフレ(2年)、そして誰も見なかった労働(ベンチマーク改定−79,000)。市場が値段をつけたのはインフレだけ。財政は週を通じて静かに後退し、労働は同じ日に発表されながら値段をつけられませんでした。

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米国株
S&P500は週間+0.5%、金曜は小反落 講演が動かしたのは短期の政策経路であり、30年は週を通じて高値から離れていた
週の着地を確認します。S&P500は7,711.76(金−0.25%、週+0.5%)、ナスダック総合26,402.42(金−0.52%、週+0.9%)、NYダウ53,559.99(金−0.02%、週+0.5%)。3週ぶりの週間プラスです。8/26のエヌビディア決算は売上962.2億ドル(+106%)、データセンター890.2億ドル(+117%)、調整後EPS2.22ドル、来期ガイド1,080億ドル±2%(市場予想1,042億ドル)と分子を確認しました。個別株の日次騰落は今号では使いません。
主役はやはり債券でした。金曜は利回りが全年限で上昇し、2年は+12.8bpの4.360%、10年は+5.8bpの4.730%、30年は+2.2bpの5.213%で引けています。ただし週ベースでは30年は8/21終値5.273%から5.213%へ約6bp低下しています。講演が動かしたのは「短期の政策経路」であり、30年は週を通じて高値から離れていた——これが他メディアの「タカ派=全面高」とも、単純な「ツイスト」とも違う位置です。
同じ金曜、BLSは2026年3月までの1年間の非農業部門雇用者数が79,000人(0.1%)過大だったと発表しました。民間部門は−178,000。ブルームバーグ調査の市場予想は+183,000の上方修正で、予想との乖離は約26万人です。ウォーシュ議長が「労働は健在」を前提にインフレを主語にしたその日に、労働の土台が静かに削られていた。これが今号最強の材料です。
7月PCEは総合+3.7%(前月比+0.2%)、コア+3.3%(同+0.2%)。コアCPIは2.5%です。前号でコアCPIを「落ち着いて見える」と書いた読者に対し、FRBが実際に見ている指標のほうが0.8pt高いと回収できます。ミシガン確報は51.7(速報51.0、前月55.2)。1年期待インフレは4.0%へ低下(速報4.3%、前月4.2%)、5年は3.3%横ばい。期待は少し沈み、コアPCEは沈んでいない——ウォーシュ氏がタカ派に振れた理由は、この一行で足ります。

用語解説:ツイストとベアフラット
週=ツイスト
2年上昇・30年低下。短期の政策経路と長期の財政プレミアムが逆方向
金曜1日はベアフラット(全年限上昇、2年が突出)です。同じ曲線でも時間軸を替えると主語が変わります。日次だけ、週次だけを見るメディアは、どちらも半分しか見ていません。 二段構えで読むから、講演効果と財政仮説を同時に検証できるのです。
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為替相場
ドル円は7月末介入以来の160円台 動かしたのは米国の政策経路、日本側CPIは利上げ観測を補強した
ドルインデックスは+0.6%の99.66。ドル円はNY時間に160.19円、高値160.20円まで上昇し、7月末の円買い介入以来の160円台を回復しました。NY終値は160円近傍です。ドル円を動かしたのは、再び米国側の政策経路でした。
日本側は8月都区部CPIがコア+1.8%(7月+1.7%)、コアコア+2.0%(同+1.8%)。エネルギーは−2.0%で政策効果の押下げ寄与は−0.27pt。外食+5.0%、民営家賃+2.0%とサービス価格の上昇は続いています。補助金を除けば基調は2%台。日銀9月利上げは織り込みではなく、補強されているというのが正確な状態です。
WTIは8/28清算83.40ドル。前週末の87.06ドルから低下しており、都区部CPIのエネルギー項を押し下げた側にあります。中東の材料は残っていますが、今号の主語は原油ではなく金利の主語交代です。
160円は介入警戒ゾーンとして再点灯しました。抽象論ではなく、8/31〜9/1のG20財務相・中央銀行総裁会議で片山財務相とベッセント米財務長官が直接接触する初の機会として観測します。

用語解説:コアPCEとコアCPIの0.8pt
コアCPIは「落ち着いて見える」2.5%。FRBが実際に見るコアPCEは3.3%。同じ「コア」でも対象と算式が違います。議長がタカ派に振れたのは、市場が見やすい指標ではなく、政策当局が見ている指標の側です。ドル円の160円台回復も、このズレが2年債を通じて為替に伝わった結果です。
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日本株
日経は週間+389円、金曜は+273円 160円台でも「一本の吊り橋」は解けていない
日経平均の8/28終値は66,405.56円。前週末(8/21終値66,016.36円)比で週間+389.20円(+0.59%)。金曜当日は+273.58円(+0.41%)、TOPIXは+29.49ptの4,146.71です。8/24の安値は65,470.95円。リードの「+389円」は週間であり、当日値ではありません。
前週は米長期金利上昇で日経が−2,697円と吐き出し、「円安が続いていても株は落ちる」ことを確認しました。今週はドル円が160円台を回復し、指数も週間プラスで取り返す形です。ただしエンジンが2本に戻ったわけではありません。
前号の仮説は「円安とAI・半導体は米金利という同じ綱に吊られている」でした。今週、米2年が政策経路を織り直し、ドル円が160円を回復しても、日経の戻りは+0.59%にとどまった。円安が再開したことと、日本株が自立したことは別です。吊り橋の検証は、来週の雇用統計と9月FOMCまで持ち越します。

Point!検証:円安再開は分散の証明ではない
前週は円安維持のまま日経−3.9%。今週は160円台回復で週間+0.59%。どちらも「円安=日本株の独立エンジン」を支持しません。都区部CPIが9月利上げを補強している以上、円安が一方通行で続く前提も点検対象です。「日本株と外貨資産の両方を持てば分散になる」という前提は、米2年が主語の週ほど危うくなります。
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─ MS総研の視点!─
主語は3つ争っていた。財政、インフレ、そして誰も見なかった労働 市場が値段をつけたのはインフレだけ
前号の観測点①ジャクソンホールは点灯しました。ウォーシュ議長は金利の主語を財政からインフレへ書き換え、9月利上げ確率は約35%から約57%へ。2年債が返事をし、金は8/28に約3%下落して8月ピーク4,697ドルから離れ、BTCも高値圏から売られました。デベースメント・トレードは、少なくとも金曜一日は停止しています。
だが週を通じて30年は高値から離れていた(8/21の5.273%→8/28の5.213%)。財務省は長期債の流動性供給買い戻しを1回20億ドルから最低40億ドルへ倍増し、9/9〜11/4に実施します。BTCは7日間で約23%上昇し約3年ぶりの週間上げ幅、8/25に81,257ドルと5月中旬以来の高値。約72億ドルの弱気ポジションが清算されました。
急騰の増幅装置はスクイーズでした。ETFは8/19〜24で約17.7億ドル流入のあと、8/28は速報ベースで流出(約2.0億ドル、9営業日連続流入の途切れ)。8/28のETF流出が3営業日続くかどうかこそが、スクイーズ説と実需説を分ける唯一の観測点です。価格ではなくフローを見る号にします。
そして同じ金曜、雇用のベンチマーク改定は−79,000でした。議長がインフレを主語にした前提(労働は健在)は、その日のうちに静かに削られています。市場が値段をつけなかったこと自体が、今号の情報です。
デベースメント仮説の定着はまだ判定しません。下のCheck Pointで検証します。私たちはプロでもアマでもなく、ただ相場のロジックを最後まで追うストラテジストとして、この検証を続けます。断定は点灯を待ってから行います。
来週の見極めCheck Point!
※注意:これは一つの主観であり決して推奨ではありません。投資は、必ず自己責任の元で行って下さい。

\Focus Point!/
今週の観測点 雇用統計9/4・G20・BTC ETFフロー、この3つで仮説を判定する

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先週の相場が示したのは答えではなく問いです。私たちは以下の3つの観測点を設定し、仮説を判定します。
観測点①|米雇用統計(9月4日)
ベンチマーク改定−79,000を前提に読みます。反証条件:弱い雇用+2年急落+金反発なら、インフレ主語は1週間で剥落したと判定します。強い雇用でも株が続かなければ、データではなく議長の枠組みが価格を支配している証拠です。
観測点②|G20財務相・中央銀行総裁会議(8月31日〜9月1日)
7月末の日米協調介入後、片山財務相とベッセント米財務長官が直接接触する初の機会です。「介入警戒」を抽象論で書かず、日程で書きます。ドル円が終値ベースで160を維持するか、158台へ戻るか。
観測点③|BTC ETFフロー
8/28の流出(約2.0億ドル)が3営業日続くか価格ではなくフローを見ます。流出が続けば金曜安は実需剥落、流入が戻ればスクイーズ後の受け皿が残っている判定です。9月FOMC(15〜16日)と160円定着は、この3点の従属変数として扱います。
先週は同じ講演を見て、2年と30年が別々の返事をしました。だが本当に静かだったのは、雇用の改定値が誰にも値段をつけられずに通り過ぎたことです。分かれたのは情報ではなく解釈です。これを見抜けるかどうかは、情報量ではなく読み方の構造を持っているかどうかです。
\ 今週のマーケット注目Point!/
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