アルファベット(Google)決算分析|好業績でも株価が伸び悩む「本当の理由」と2026年の展望

「決算は完璧に見えるのに、なぜ株価が爆発的に上がらないのか?」
本日、今朝早朝に発表されたアルファベット(Google / ティッカー:GOOG, GOOGL)の最新決算を見て、そう疑問に思った投資家は多いはずです。添付された決算資料の数値を見る限り、売上高は二桁成長、純利益に至っては約30%増という、文句のつけようがない「好決算」でした。
しかし、株式市場の反応は冷静、あるいは一部で警戒感すら漂っています。その答えは、過去の「結果」ではなく、市場が読み取った「未来(2026年)の変化率」にあります。
本記事では、表面的な数字の良し悪しだけでなく、機関投資家が重視する「利益の質(FCF)」と「AI投資の回収ストーリー」、そしてコンセンサス予想から透けて見える「来期の成長鈍化懸念」について、実務的な視点で深掘りします。
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- 1. 結論|決算内容は「S評価」しかし株価は「来期の利益カーブ」で決まる
- 1.1.1. 【決算ハイライト】
- 2. 画像の数字で読み解く|4Qで見せた「筋肉質な経営」の正体
- 2.1. 「売上+18.0%」に対し「純利益+29.8%」の意味
- 2.1.1. Point!|経営の効率化
- 3. 通期と来期予想のギャップ|市場が懸念する「2026年の壁」
- 3.1. 売上は伸びるが、利益は伸びない?
- 4. なぜ好決算でも株価が弱いのか|ありがちな3つのシナリオを深掘り
- 4.1. 1) 「期待値」が高すぎた(織り込み済みの壁)
- 4.2. 2) 重要なのは「利益の額」ではなく“利益の質”(FCFと投資回収)
- 4.2.1. Googleの不確実材料
- 4.3. 3) 来期の“利益急ブレーキ”は「株主還元」の期待値を下げる
- 5. Check List!|迷った時の判断基準
- 5.1. チェック①:Google Cloudの「利益率」推移
- 5.2. チェック②:コア広告(検索・YouTube)の底堅さ
- 5.3. チェック③:CapEx(設備投資額)とFCFのマージン
- 6. 来期(2026年)コンセンサスの読み方と投資戦略
- 6.1.1. 【2つの仮説と対処法】
- 6.1. 【投資行動に直結】米国株を始める人向け|王道の準備
- 7. 結論|次の焦点は「AI投資に見合う収益の証拠」
- 7.1.1. 出典・参考データ
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結論|決算内容は「S評価」しかし株価は「来期の利益カーブ」で決まる
まず結論から申し上げます。今回発表されたアルファベットの決算内容は、企業の基礎体力(ファンダメンタルズ)の観点からは「極めて強い(S評価)」と言えます。
巨大企業でありながら売上が+18%も伸び、利益がそれを上回るスピードで成長している点は、Googleの「稼ぐ力」がいまだ衰えていないことの証明です。検索独占禁止法の裁判や、OpenAIなどの競合台頭が叫ばれる中でも、コアビジネスは盤石であることを数字で示しました。
【決算ハイライト】
- 売上高、EPSともに市場予想(コンセンサス)を上回る「ダブルビート」
- 純利益の成長率が売上成長率を大きく上回る「利益率の改善」
- 通期で見ても勢いが衰えていない
しかし、投資家にとって重要なのは「素晴らしい成績表」そのものではなく、「その成績が今後も続くか、さらに良くなるか」という一点です。 市場は常に半年〜1年先を織り込みます。今回、好決算にもかかわらず株価が上値を追いにくくなっている最大の要因は、「2025年が良すぎた反動で、2026年の成長率(変化の勾配)が緩やかになる」という見通しが意識されているからです。
画像の数字で読み解く|4Qで見せた「筋肉質な経営」の正体
具体的に、添付いただいた画像の数値から読み取れる「Googleの現在の強さ」を分解してみましょう。最も注目すべきは、「売上の伸び」と「利益の伸び」のギャップです。
「売上+18.0%」に対し「純利益+29.8%」の意味
通常、企業が成熟すると、売上の伸び以上に利益を伸ばすことは難しくなります。しかし今回のGoogleは、売上が18%伸びたのに対し、純利益は約30%も増加しています。
これは何を意味するのでしょうか? 答えは「経営の効率化(マージン改善)」が進んでいるということです。
Point!|経営の効率化
- 人員配置の最適化:過去数年で行ったリストラや採用抑制の効果。
- AIによる生産性向上:社内業務へのAI適用によるコスト削減。
- クラウド部門の黒字定着:長年のお荷物だったGoogle Cloudが、いまや稼ぎ頭の一つとして利益率を引き上げている。
つまり、単に「広告がたくさん売れた」だけでなく、「売上1ドルあたりに残る利益が増えた」という、非常に質の高い決算であったことがわかります。
通期と来期予想のギャップ|市場が懸念する「2026年の壁」
ここからが本題です。これだけ良い決算なのに、なぜ手放しで喜べないのか。そのヒントは、添付画像の「2026/12 コンセンサス(予)」に隠されています。
| 項目 | 2025年実績(結果) | 2026年予想(コンセンサス) | 成長率の傾向 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,028億ドル | 4,560億ドル | 順調に拡大(約+13%) |
| 純利益 | 1,322億ドル | 1,357億ドル | ほぼ横ばい(約+2.6%) |
※数値は概算
売上は伸びるが、利益は伸びない?
表を見て分かる通り、市場のアナリストたちは「2026年も売上は13%以上伸びる」と予想しています。しかし、純利益の伸びはわずか2.6%程度にとどまると見ているのです。
「売上が増えるのに利益が増えない」という現象は、通常、「コスト(原価・販管費・投資)」が激増する局面で起こります。Googleにとってのそのコストとは、間違いなくAIへの設備投資(CapEx)です。
市場は、「2026年は稼いだ利益を、次のAI覇権を握るためのデータセンターやGPU(半導体)に大量投入する年になる。だから株主の手元に残る利益の成長は一時停止する」と読んでいるのです。これが、株価の重石となっている正体です。

なぜ好決算でも株価が弱いのか|ありがちな3つのシナリオを深掘り
決算発表後に株価が下落、あるいは横ばいになる現象(Sell the fact)には、明確な論理的背景があります。投資家心理を3つの視点で整理します。
1) 「期待値」が高すぎた(織り込み済みの壁)
株式市場において「予想通り」は失敗とみなされ、「予想超え」で及第点、「圧倒的な予想超え+強気な未来」があって初めて株価が跳ねます。 今回のGoogleの決算は素晴らしいものでしたが、株価は発表前からすでに高値圏にあった可能性があります。投資家たちは「良い数字が出るのは分かっている。知りたいのは、さらにその上のサプライズがあるかだ」と構えていました。結果として、サプライズの規模が期待値のハードルを超えられなかったと言えます。
2) 重要なのは「利益の額」ではなく“利益の質”(FCFと投資回収)
ここがプロの投資家が最も重視するポイントです。PL(損益計算書)上の「純利益」は、会計上のルールで作られた数字に過ぎません。企業の実力を測る真の指標は、フリーキャッシュフロー(FCF:自由に使える現金)です。
AI投資が激化する現在、Googleは莫大な現金を設備投資に回しています。 たとえ会計上の利益が出ていても、それ以上に現金が設備投資に消えていれば、FCFは減ってしまいます。
Googleの不確実材料
- 投資家の懸念:「利益は出ているが、その金はすべてNVIDIA(GPU購入)や建設業者(データセンター)に流れているだけではないか?」
- 確認したい点:「その巨額投資は、いつ、どのように売上として回収(マネタイズ)されるのか?」
この「投資回収のストーリー(AIでどう稼ぐか)」が、検索広告ほど明確に見えていない点が、株価のプレミアムを剥落させています。
3) 来期の“利益急ブレーキ”は「株主還元」の期待値を下げる
米国株投資家がGoogleに期待しているのは、成長だけではありません。「自社株買い」や「配当」による株主還元です。 これら還元の原資となるのも、やはりキャッシュです。
画像の予想通り、2026年の利益成長が鈍化し、かつAI投資負担が重いままであれば、企業側は「今は現金を温存したい(あるいは投資に回したい)」と考え、大規模な自社株買いや大幅な増配を躊躇するかもしれません。 「利益成長の鈍化」は、間接的に「還元の質の低下」を連想させるため、投資家はポジションを落とす(売る)動きに出やすくなります。
Check List!|迷った時の判断基準
では、私たちはGoogle株をどう判断すればよいのでしょうか?「売り」か「買い」か悩んだときにチェックすべきポイントを、優先順位順に並べました。
チェック①:Google Cloudの「利益率」推移
クラウド事業(Google Cloud)は、AWSやAzureに対抗するGoogleの成長エンジンです。ここで重要なのは売上シェアだけでなく、営業利益率です。 クラウドの利益率が向上していれば、「AI投資をしても、クラウド価格への転嫁や付加価値によって回収できている」という証拠になります。
チェック②:コア広告(検索・YouTube)の底堅さ
AI投資を支える財布は、あくまで「検索広告」と「YouTube広告」です。ここが景気後退などで崩れると、AI投資を続ける体力が奪われます。 四半期ごとに「クリック単価(CPC)」や「広告回数」が安定しているかを確認しましょう。ここが崩れなければ、Googleは長期戦を戦えます。
チェック③:CapEx(設備投資額)とFCFのマージン
決算書で必ず「CapEx(資本的支出)」の数字を見てください。 「投資額が増えていること」自体は悪くありません。問題は、「投資額が増えた分以上に、営業キャッシュフロー(本業の稼ぎ)が増えているか」です。稼ぎが投資を上回っている限り、Googleの財務は健全です。
来期(2026年)コンセンサスの読み方と投資戦略
添付画像の「2026/12 コンセンサス」が示唆する「売上増・利益微増」のシナリオに対して、投資家はどう構えるべきでしょうか。
【2つの仮説と対処法】
仮説A:AI投資が先行し、一時的に利益を圧迫する(強気シナリオ) これはAmazonがAWSへの投資期に経験したのと同じ「産みの苦しみ」です。この場合、投資が一巡し、AIサービスが収益化し始めたタイミング(2026年後半〜2027年)で、利益率は劇的に改善します。長期投資家にとっては、株価が停滞している今は「仕込み時」となります。
仮説B:競争激化でマージンそのものが低下する(弱気シナリオ) AI検索(PerplexityやChatGPT Search)への対抗でコストがかさみ、かつての高収益体質に戻れない可能性です。この場合、PER(株価収益率)の切り下げが起きるため、安易な買いは危険です。
現時点での私の見解は、「仮説A(投資先行)」の可能性が高いと見ています。Googleの持つデータ量とインフラ技術は他社を圧倒しており、AIのマネタイズ(Geminiの統合など)はこれから本格化するからです。 ただし、短期的には「数字上の利益成長」が見えにくいため、株価はボックス圏(一定の幅での上下)での推移が予想されます。
【投資行動に直結】米国株を始める人向け|王道の準備
アルファベットのようなメガテック株は、決算発表のたびに株価が大きく動くことがあります。また、今回のように「好決算に見えるのに下がる」という局面こそ、冷静に買い増しを検討するチャンスでもあります。
中長期で資産を形成するためには、正しい「情報環境」と「コスト管理」が不可欠です。
米国株の決算シーズンを味方につけるなら:
為替手数料の安さや、米国株情報の充実度(リアルタイム株価や詳細な銘柄分析)は、証券会社によって大きく異なります。長期投資で差をつけるために、米国株に強い主要ネット証券で口座を準備しておくのが第一歩です。
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結論|次の焦点は「AI投資に見合う収益の証拠」
今回のアルファベットの決算は、過去の実績としては文句なしの「A評価」でした。 しかし、株価が反応しきれない理由は、市場の視線がすでに「2026年のAI投資負担」と「利益成長の踊り場」に向いているからです。
次に私たちが注目すべきは、単なる利益の絶対額ではありません。 「積み上げたAI投資が、いつ、どの事業(クラウドなのか、検索なのか)でキャッシュを生み出し始めるか」。その証拠(Sign)が見えたとき、Googleの株価は再び力強いトレンドを取り戻すはずです。 今はその時を待ちつつ、四半期ごとの変化率を冷静に観察するフェーズと言えるでしょう。
出典・参考データ
- NASDAQ:GOOG Earnings Estimates & History
- Alphabet Investor Relations(公式IR・決算資料)
- U.S. SEC EDGAR Database:Alphabet Inc. Filings
監修:MSマーケット総研


